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大和証券杯特別対局 渡辺明竜王VSボナンザ(2007年3月21日)

 ボナンザ戦に行ってきたので、軽く報告です。当初はまったく興味がなかったのですが、渡辺のブログを日々見てるうちに、真剣度がわかり、チケットも売れ残っていたので、じゃあというわけでした。
 指導対局付きの3500円と、観戦のみの2500円の席があり、僕は後者。全部で350席用意されていたようです。(有料にする意味がわかりません)入場者には記念扇子がお土産として配られました。渡辺の揮毫で「大局観」と。そこんとこは負けないぞ、ということだったんでしょうか。
 チケットは当日までに売り切れで、会場はぎっしり満員。子供、女性はほとんどいなかったと思います。遅く入った僕は最後列に座りましたが、対局が始まると、ほとんどの観客は解説会場へ。僕も途中で覗きに行きましたが、解説会場は別の建物内で遠いんです。(リコーのペア碁では解説会場は隣の部屋でした)
 僕が解説会場を覗いたときは森内俊之と中井広恵で解説をやっていて、まだ序盤のさなかでしたが、森内は、ボナンザは駒組に苦労するだろうという見解。実際は、渡辺が研究を活かそうとしたからか、対局会場に戻ってみると、きれいに組み上がっていました。解説会場はほぼ満員で、しょうがなく後ろで立って聞いていたのですが、ふと横を見ると斎田晴子がいて、直立不動で、小さな手帳にカリカリとメモを。明治の女学生のような人ですね。
 対局開始の一手目はボナンザ開発者が指し、以降は奨励会員がきれいな手つきで駒を指したのですが、開発者の手はぶるぶる、対する渡辺は急に集中が高まった様子で、満場の中でも、いつもの感じでばしっと、さすがでありました。
 6六角以降のボナンザは印象的で、お互い大駒を成り合って、これはボナンザが勝つ?と見えたものです。渡辺は首の辺りを掻いたり、かなりナーバスな感じに見えました。いささか記憶があやふやながら、4九香成で渡辺は僕の勝ちでしょ?という顔をしたと思います。実際は難しかったようですから、腹を決めたということだったのかもしれませんが、渡辺はオーラも下がって、トイレにも二度たちながら、一直線に指し進んでいきました。
 イベントへの注文としては、とにかく、対局場と解説場を近くにしてほしかった。2000年のカスパロフ対クラムニクのマッチもネット向けイベントでしたが、あれは観客もレシーバーで解説を聞けたわけです。それと、全体にマスコミをひいきしすぎで、観戦のじゃま。宣伝したいのはわかりますけどね。また、観客の椅子はホテル大広間によくあるような軽くて堅い椅子ですが、対局者も同じ椅子でした。対局ルールは入口に掲示してありましたが、誰も見ないでしょう。賞金についてはとくに説明も、記者の質問もなかったです。
 終局後は短い感想戦がありましたが、マスコミが囲んでいたので見えなかった。その後、15分ほど用意の間が空いて公開記者会見へ。表情の無い相手と対局したことに関して、渡辺は「駒を動かす奨励会員の表情をときどき見た。奨励会員の隣のモニターにボナの読みがでているから、奨励会員の表情の変化をみれば、ボナが意外な手を読んでいるか、そうでないかわかる」と語ってました。また、ボナンザの開発者さんは、なんとも味わいのある人で、さかんに笑いを誘っていました。もし勝っていたら相当なスターになれたでしょう。
 とにかく、渡辺だから面白かったわけで、羽生でも面白いでしょうし、僕は森内なら見に行きますけど、、、。