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医療裁判,医療訴訟

医療裁判に関する話題を集めます。

 医療行為の成否は医療機関の判断と技量のみにかかわるのではなく,患者の協力いかんが大きく影響する現実を看過することはできない。本件では,そもそもAの青森旅行の敢行はK病院との診療契約において患者として健康に第二子を出産するという同契約の目的実現のために負う重要な協力義務に違反するものである。
(青森里帰り妊婦OHSS訴訟控訴審判決文より)

(表紙メッセージ履歴はこちら)

お知らせ
平成22年2月15日: 青森里帰り妊婦OHSS訴訟(司法過誤度:C以上(一審),二審は妥当)を掲載しました。
平成22年2月9日: 一宮身体拘束裁判(司法過誤度:A(二審),最高裁判決は妥当)を掲載しました。
平成22年1月31日: 痴漢誤認逮捕事件の差戻し審判決に思うを掲載しました。

基礎編
医療事故を裁判で裁くのは好ましくありません

医療と司法の関係についての私の考えの原点

裁判傍聴の方法 裁判に触れてみましょう

裁判記録閲覧の方法

訴訟内容をより詳しく確認したい場合は,カルテをはじめとした全記録を閲覧できます。
書類送検について 医師が「書類送検」されたと聞くと,医療関係者は不愉快になりますが…
医療訴訟の原告の方へのアドバイス わざわざ負け戦をしないように,患者さんへのアドバイス。
医療訴訟の患者側勝訴率が急低下 平成20年の患者側勝訴率26.7%は,依然として高いものに感じます。
裁判官の方々へのメッセージ 本当は,裁判官の方々を尊敬しています。
「業務上過失人権侵害罪」の立法を 弁護士業務のミスが刑事罰に問われる法制度は,人道的に問題は無いのでしょうか。
痴漢誤認逮捕事件の差戻し審判決に思う 医療訴訟において原告に要求される立証水準と比べて,ハードルが異様に高いことに驚きました。
事件編
独断による司法過誤度ランクをつけました。ランクは大体以下の通りです。
A=司法判断の手法自体に過誤がある(狭義の司法過誤)と考えるもの
B=医学的判断に重大な問題があるもの
C=医療側への注意義務賦課が厳しいもの
事件名(独自の命名です) 司法過誤度 内容
青森里帰り妊婦OHSS訴訟
(平成22年2月15日掲載)
C以上(一審)
二審は妥当
医師の制止に従わずに里帰りをした妊婦が,里帰り先で病気を発症して入院,ICUへの転棟を何度も拒否し,不幸な結果に。控訴審判決文では詳細な責任判断と共に,患者の義務について鋭い判示がなされた。
一宮身体拘束裁判
(確定)
(平成22年2月9日掲載)
A(二審)
最高裁判断
は妥当
入院中の患者が興奮状態となったために止むを得ず身体拘束をしたことについて,高裁は「緊急性はなかった」として病院側の責任を認めた。その判決は最高裁で覆され,結局この事件を通じての最大の問題点は医療行為の適否ではなく,高裁判決の司法判断にあったものと考えられた。
八戸縫合糸訴訟
(確定)
一審は妥当
A(二審)
最高裁判断
については
本文参照
農作業の負傷でガス壊疽にかかり左脚切断となった事件。医師の過失で左脚切断に至ったと認定した高裁判決に対して,全国の医師から轟轟の非難があがり,「どうせ異常な鑑定が出たのだろう」という予想が立てられていた。しかし裁判記録を紐解いてみると,目立つのは鑑定の異常さよりも,高裁判決における因果関係認定の異常さであった。
加古川心筋梗塞訴訟
訴訟記録閲覧後コメント
(確定)
A(一審)
確定
判決に対して全国の医師が猛反発したが,その反発の内容に,裁判で争われていない"怪情報"が含まれているとして兵庫医療問題研究会から声明が出された。しかし それ以前に裁判所の判断に杜撰な点があり,司法過誤と考えられた訴訟。
東京脳梗塞見落しカルテ改ざん訴訟
(確定)
妥当 C級訴訟。脳梗塞を見逃されカルテを改ざんされたと主張しながら敗訴した原告から,私宛に「村田渉裁判長の眼が曇っているので診察してあげてください」とのメッセージが届いた。しかし裁判記録を確認すると驚くべき事実が…
東京産婦MRSA感染訴訟 C(一審)
A(二審)
一審でMRSAに対するバンコマイシン投与の遅れを過失・死亡原因認定され高額賠償判決となり,病院側が控訴。控訴審では,裁判所が原告に不利な鑑定内容を,まるで鑑定書が存在しないかの如く無視をして,またもや因果関係が認定されて高額賠償判決となった。
東京の皆さ~ん,こちら岡山で~す
(確定)
妥当 東京地裁と岡山地裁を電話回線で接続しての遠隔証人尋問を傍聴。事件自体はそもそも原告の勝機が薄いと考えられる事件で,一審原告敗訴で確定。
関東中央病院PTSD訴訟 一審は妥当
B(二審)
診療時の医師の対応に過失がありPTSDを発症したとして提起された訴訟。控訴審で患者が逆転勝訴したが,高裁判断は,過失認定のために証拠を拡大解釈したものと考えられ,限りなく司法過誤度Aに近いと思われる判決であった。
アヴァンギャルド癌治療訴訟
(確定)
和解,妥当 早期癌に対して手術を嫌った患者が,漢方・気功クリニックで治療を受けたところ,癌が進行して死亡し,遺族がそのクリニックを相手に提訴した。
十日町病院術中死訴訟 一審は妥当
A(二審)
A(最高裁)
手術中の麻酔薬投与量過量の過失,心停止後の対応の過失等について,裁判所ごとに大きく異なる判断をした。医学的には二審判決が妥当と思われたが最高裁で破棄された。その最高裁判決は,最高裁小法廷に求められる司法水準に達していないのではないかと疑われるような判決であった。
腰椎圧迫骨折保存療法訴訟
(確定)
和解,微妙 腰椎圧迫骨折に対して標準的な治療をした医師に対して,特殊な治療を支持する医師が批判的な証言をした訴訟。批判証言をした医師の問題と,そもそも訴訟を請負った弁護士の問題と,双方が考えられた事件。
ゼロ和解したRSD訴訟
(確定)
和解,妥当 証人尋問を傍聴した限りでは,東京地裁民事第34部の村田裁判長の下では原告敗訴は当然と考えられたところ,医療訴訟では珍しいと思われるゼロ和解で終結した事件。
福島VBAC訴訟
(確定)
A(一審)
高裁和解,
不当
産科医療崩壊の聖地・福島県で,大学病院の医療体制が不十分だったと,曖昧な基準で有責とされた事件。判決は,争点とは別の過失を認定して有責としており,司法過誤と考えられた訴訟。
過剰な吸引分娩による胎児死亡訴訟
(確定)
一審は微妙
二審は妥当
一審は,新聞報道と,実際の裁判内容に大きなギャップがあり,報道の杜撰さが目についた 。また,一審は医療側にやや甘い判断であったと考えられたが,高裁では新たな調査結果を基に修正された。
産婦大量出血死亡訴訟
(確定)
B(一審)
二審は妥当
司法の手が血液製剤C型肝炎被害を拡大に加担したと考えられる,昭和50年の判決
新島骨折見逃し訴訟
(確定)
C(一審)
C(二審)
小さな島での医療訴訟。賠償金支払でトラブルがあり新聞で取り上げられた
徳島脳性麻痺訴訟
(確定)
C(二審) 原告側弁護士のブログが炎上して話題になった。現在,判決文のみ掲載。コメントは後日掲載予定
奈良先天緑内障訴訟 A(一審)
B(二審)
一審では裁判所の常軌を逸した判断により1億3千万もの賠償額を認められ,控訴審では医療現場の実態を無視した鑑定によって法廷が翻弄された訴訟。控訴審判決には,裁判所が翻弄されたことに対する弁明と,被告側の自由な弁護活動への批判が並べ立てられた。
カルテ改ざん訴訟
(確定)
妥当 C級訴訟。カルテの正本を示して説明をしても,改ざんカルテと信じて疑わない患者が,弁護士なしの本人訴訟で臨んだ裁判に,地方裁判所は短い判決文を示した。
円錐角膜移植手術後散瞳症訴訟
(確定)
A(一審)
二審は妥当
一審では,「風が吹けば桶屋が儲かる」式の理論で,病院側が有責とされたが,控訴審ではその理論は完全に否定された。一審判決は真のトンデモ判決と言える。 また,上告が理由不備で却下され,弁護過誤も疑われた。
奈良救急心タンポナーデ訴訟
(確定)
一審は妥当
A(二審)
高裁判決でアクロバット的な法解釈の捻じ曲げで,医師の過失を認め,それでいながら医師には賠償責任を負わせず,勤務先の県の賠償責任を認めた例。
亀田テオフィリン中毒訴訟
(確定)
B(一審)
A(二審)
テオフィリンという薬を,致死量以上の量を摂取したと思われる患者を,救急で救えなかったとして,病院が敗訴した事件。
村田渉判事の判決文に学ぶ~1~
村田渉判事の判決文に学ぶ~2~
村田渉判事の判決文に学ぶ~3~
妥当 東京地方裁判所の民事第34部で,平成19年より指揮を執られている村田渉裁判長の判決文は,不自然に患者側に偏ることなく,医師から見ても納得できる判決が多いと思われるので,例示してみた。

 


備忘録

新宮市民病院心筋炎訴訟 一審判決文解説二審判決文解説(新小児科医のつぶやき)

判決文リンク(以下,訴訟名は便宜上筆者がつけたものです。)
社医の採血ミス訴訟(原告が眼科医) | 新小児科医のつぶやき - 第一生命社医採血ミス訴訟(解説)
神戸眼球打撲訴訟
網膜剥離術後感染訴訟
千葉白内障術後感染訴訟
眼内レンズ逢着脈絡膜出血訴訟
東京レーシック再々手術訴訟
東京白内障術後網膜剥離訴訟
黄斑上膜術後黄斑変性訴訟
東京網膜剥離術後変視症訴訟
大阪RK訴訟
東京モルタル化学熱傷訴訟
東京レーシック再手術訴訟
東京角膜移植後連続緑内障訴訟

参考書籍
専門訴訟大系〈1〉医療訴訟 (専門訴訟大系 第 1巻)
眼科医療事故の法的責任(深谷 翼 著)
医療崩壊―「立ち去り型サボタージュ」とは何か (小松 秀樹 著)
医療訴訟ケースファイル〈Vol.1〉
医療訴訟ケースファイル〈Vol.2〉
判例にみる医師の説明義務(藤山 雅行 編著)
医療判例解説(隔月刊誌)

参考サイト
裁判所判例watch 医療過誤裁判例集
裁判所(裁判例情報コーナーから,裁判例を検索できる。「裁判所判例watch」で,pdf等がリンク切れになっている場合,こちらで再検索をすると見つかる場合が多い。)
最高裁判所医事関連訴訟委員会
元検弁護士のつぶやき(弁護士さん運営,医療訴訟関連の発言多数)
新小児科医のつぶやき(医療崩壊に関連する充実したブログ)と,内容の分類整理集
弁護士寺島道子の医療過誤訴訟(患者側で活躍する大阪の弁護士。医療関係者も必読)
間違いやすい法律用語の寄せ集め


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