中央が鈴木弁護士。

毎日新聞のページより

チェス元王者:入国審査官らを提訴 不法入国容疑で収容

 無効の米国旅券を所持していたとして入管法違反(不法入国)容疑で東京入管成田空港支局に収容されているチェスの元世界チャンピオン、ロバート・ジェームス・フィッシャーさん(61)が6日、入国審査官らを相手取り、上陸許可取り消し処分の無効確認を求め東京地裁に提訴した。退去強制処分の手続きを進めないよう執行停止の申し立ても行った。

 フィッシャーさんは72年、29歳で世界チャンピオンになった。92年に、米国が経済制裁を実施していたユーゴスラビア(現セルビア・モンテネグロ)で対局し、賞金を獲得したことが通商を禁じた法令に触れるとして、米当局に起訴された。その後、一度も帰国していない。

 訴状などによると、フィッシャーさんは4月15日、日本に入り、7月13日に成田空港からフィリピンに出国しようとしたが、旅券が無効だとして日本への上陸許可が取り消され、収容された。入管の担当者は「米国大使館が03年11月に旅券の有効性を取り消したと、今年6月になって通知してきた」とフィッシャーさん側に伝えたという。

 フィッシャーさん側は▽米政府から旅券を無効にするとの正式通知を受けていない▽落ち度のない人間に対する上陸許可を入国時点にさかのぼって取り消すのは不当−−などと主張している。【坂本高志】

 東京入国管理局成田空港支局の話 訴状を見た上で検討したい。

毎日新聞 2004年8月6日 20時27分


朝日新聞のページより

元チェス王者のフィッシャー氏、入国審査官らを提訴

 出国の際に無効な旅券を持っていたとして、出入国管理法違反(不法入国)の疑いで東京入国管理局成田空港支局に収容されたチェスの元世界チャンピオン、ボビー・フィッシャー氏(61)が6日、入国審査官らを相手に上陸許可の取り消し処分の無効を求める訴訟を東京地裁に起こした。

 同氏は92年、旧ユーゴスラビアで対局相手に勝ち、多額の賞金を手にしたが、当時、米国はユーゴを経済制裁の対象にしており、商行為とみなして同氏を制裁違反罪で起訴、事実上の国外追放処分としていた。

 代理人の弁護士によると、フィッシャー氏はこれまでも来日の経験があるが、直近では4月に香港から入国。しかし、米政府が6月、「同氏のパスポートはすでに取り消した」と連絡してきたため、7月にフィリピンに出国しようとした際、入管に身柄を拘束されたという。

 同氏は「米政府には絶望した」として同国の国籍を捨てる意思を表明し、難民認定の申請もしているという。

 記者会見した代理人は「今回の取り扱いは、フィッシャー氏がかねて米政府を批判していたことが影響しているとしか思えない」と批判した。

(08/06 21:22)


日本チェス協会のページより

世界チャンピオンのボビー・フィッシャーさんを救う会を結成しました。

 7月13日、ボビ-・フィッシャー氏(61)は成田空港で出国の際に、無効なパスポートをもって入国したとして、入管法違反で上陸許可を取り消され拘束されました。拘束されてから太陽の光を一度も浴びることなく東京入管成田空港支局に収容されています。
 1992年ユーゴスラビアの経済制裁下でチェスのマッチをスパスキイとしたことで起訴状と逮捕状がだされ、2003年これを根拠にパスポートが無効とされる通告文がフィリピンにあるアメリカ大使館宛てにフィッシャー氏の住所もなく、送付されました。当時、フィシャー氏はフィリピンに滞在していなかったため、通告文を受け取ってません。
 また、何も知らなかったフィッシャー氏には通告文の受領後60日以内にできる不服申し立てができませんでした。本人が知らないままにパスポートを無効にすることは、アメリカの法律に違反しています。フィッシャー氏の対戦相手、元世界チャンピオン・スパスキイ氏(フランス)、審判員のGMシュミット氏(ドイツ)、その他関係者は誰一人非難もされず、罰も受けていません。
 文化の保護・振興という国家の持つ重大な役割を考えるとき、チェス文化の最大の貢献者フィッシャー氏をこのままアメリカの刑務所に送られるのを黙って見ていられません。
 世界中から、フィッシャー氏のファンたちから自分たちに何が出来るかと問い合わせが日本チェス協会に毎日殺到しております。アイスランドの『Free Bobby Fischer』のホームページでは嘆願書の署名が世界中から寄せられています。
  この現場にいる私たち日本人も、この偉大な天才チェス棋士・フィッシャー氏の命を救うためフィッシャーさんを救う会を結成し、アメリカに身柄引き渡しされないよう頑張っています。

 7月29日、日本外国特派員協会で記者会見をしました。
 8月6日、弁護士会館で第2回記者会見をしました。上陸許可処分取消等請求事件として訴訟しました。執行停止申立書を提出しました。

 皆様の御支援を賜りますようお願いいたします。

フィッシャー氏を救う会代表
石井一二、ジョン・ボスニッチ、渡井美代子

注。当初は「8月6日」の条はありませんでした。「皆様の御支援を」以下も、「是非、皆様の賛同を期待しております」でした。誤字訂正、行詰等、本文を変えない程度の編集をしました。