理科智嚢
兒童の疑問
理科智嚢
明治45年5月10(日)初版発行。同文館刊、堀七蔵著、菊版、深緑クロス装、188ページ。例によって元町の「つの笛」で400円で手に入れた。
 

著者は、東京女子高等師範学校の訓導。緒言に「本書は尋常小学兒童及び卒業生に此等日常の疑問を説明して理科教授の欠点をおぎない、兒童の自然研究に対する興味を喚起したい」とある通り、子供向けの理科の解説書だ。
 

今でも結構類書は多いが、この本の特色は、何と言っても80年ほども前の科学知識なので、科学音痴の僕が見ても珍妙な学説(?)が大真面目に開陳されていることと、問答形式で,その文章に何とも言えない味があること、もう一つは銅版画のカットが素敵なため、もうこの本は手放せない。
理科智嚢中身
天文・気象・迷信・力・熱・音の5章に分かれていて、総計270もの質問と回答が列記されている。「迷信」なんてのが入っているのが如何にも時代を感じさせる。
 

「人は何故死ぬのですか」「死ぬ時にはどんな心地がするでせうか」「死んだら何処に行くでせうか」などという鋭い質問もあって、答える方も実にとぼけた回答をしている。ちなみに、先の最後の質問に対する回答の全文。

サアこれも「おれは死んでこんな処に来た、活動写真もある、蓄音機もある。面白い処だ」ともなんとも昔からたくさんの人が死んだが、手紙を一通よこしたものがないから判らぬ、誰かわかる人ありますか
 

こう無邪気に切り返されると笑うしかない

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