和洋料理の作り方畫報
お總菜向きの
和洋料理の作り方畫報

昭和6年(1931)「主婦之友」9月號附録。新書判パノラマ式、約80頁。主婦之友社。
これは、いつだったか、花隈の古書会館の定期市で、二百円くらいで手に入れた。今も昔も婦人雑誌には料理本の別冊附録は付き物だ。「主婦之友」は現在も健在で、やっぱり同じような付録をつけて、主婦の購買意欲を刺激し続けている。最近のものは、實物を遙かに超越したウルトラスーパーリアリズムのカラー写真が滿載されている。それに比べるとこの「畫報」は表は総天然色と言い乍ら、白黒写真に後からインクで色を付けた風情。1頁が3段に分かたれて、それに対応する裏面に材料や作り方が記されている。
僕は一人暮らしが長くて、必要に迫られてということもあるが、結構料理は好きな方で、料理関係の本だけでも10冊以上持ってるが、この粗末な附録がことのほか気にって入るのは、やはり實用をはなれて、見て面白いからということにつきる。
芸がないが、特長を箇条書きする。
  • 1.メニューの多彩さと意外さ
  • 2.それぞれに担当者名の明記してある、レシピの文章にあじわいがある。
  • 3.所々にある材料の値段。(単純に現在と比較するのではなく、当時庶民的だったものが、最近ではなかなか手に入らなくなったりしている)
  • 4.獻立を盛り付けてある器が、いかにもホテルや料亭風で、単調なのに、飽きない。
  • 5.カットが楽しい。
  • 6.広告がおもしろい。
最後の広告については、少し補足しておこう。この畫報は附録なのに良心的で、広告は裏表の見返しと表紙裏の計5点しかない。「明治メリーミルク」「宝味醂」「日清サラダ油」「マスター粉白粉」「ファインゴム」で、初めの3社は現在でも有名なメーカーといえる。中でもメリーミルクの缶にある女の子の絵には個人的思いいれがあって、そのオールドバージョンが載ってて嬉しかった。

眼目はおしまいの「ファインゴム」で、実はこれ、着物用の「シークレットブーツ」みたいな商品。愛用者の一人という、八雲恵美子さん(たぶん舞妓か藝者なんだろう)が、にっこり笑った艶姿を左に配し、「目立たぬ大流行」というキャッチフレーズに続けて、ファインゴムの10の效用が列記してある。
ファインゴム

  • 1.二寸位は誰でも高くなる
  • 2.スラッとした姿勢になり
  • 3.手輕に使へて履心地よし
  • 4.使ってる事が目立たず
  • 5.衞生上に非常に有效なり
  • 6.丈夫で永持ちのする品質
  • 7.歩行がずっとらくになる
  • 8・氣分が何時も朗らかになる
  • 9.不用の時はかさばらない
  • 10.跛の方は片方だけですむ
広告とは言え「もの凄いこと言わはるわあ」で、ある。

この頃は料理ブームとレトロ流行りで、このての附録が古本屋で値上がりしている。あまりいい傾向とは思えない。一時の漫画雑誌、貸し本屋本の高騰の二の舞にならないことを願いたい。

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