ほととぎす
ほととぎす
 
それまで気にも留めなかったものや事柄が、いつの間にか心を捉えてしまっていることがある。

たとえば地味で目立たず、長いことその存在すら知らずにいた花に突然親しみを覚え、ほかの派手やかな花より好ましく感じたり、ほっとする思いを得たりするように。
 

ほととぎす(時鳥草、油點草)などはさしずめ、そんな思いの最たる花のひとつだろう。

あくまで僕の個人的思い入れではあるのだが−−− 
 

いわゆる茶花の類ということになろう。

このての花を好むということは、とりもなおさず年を取った証拠かもしれない。

いや、まさにそのとおりなのだろう。洟垂れ小学生までが「シブイ!!」なんて抜かすこのごろでも、この花の渋味は、ある程度の年輪を重ねた後でなければ味わうべくもあるまい。 
 

ほととぎすという鳥は、和歌の世界でこそ圧倒的に幅を利かしているものの、高名な割に人目につかない。

ほととぎすの花弁の斑点が、この鳥の胸部の斑模樣に似ている事から命名されたというわけなのだが、今日では、かえって、この花を見て鳥に思いを馳せることの方が多い。 
 

鳥が和歌なら、この花にはどことなく俳味がある。

僕の中で秋の花が、コスモスからほととぎすに変ったことは嗜好の上で象徴的なことではないかと思ったりするのだが、その割にやってることがいっこうに代わり映えしないのは、どうしたことだろう。 

色戀も兒戯と見爲せば油點草 

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