すひかづら
 
 
語源は「水ヲ吸フ蔓ノ義、水辺ニ生ズト云フ」と言海に、また「ニンドウ」の名は和名抄に「冬ヲ凌ギ凋マズ、故ニ名トナス」とある。 

「忍冬」と書いて「すひかづら」とルビを振るのが一番相応しいように思える。 

シルクロードくだりの装飾模様を表わす「忍冬唐草」の場合はその限りではないが。 

酢の物贔屓の僕は、これもはじめは「酸っぱい蔓」だと勝手に誤解していた。 

あの特徴ある白い花を、初夏から秋にかけて咲かせるが、古い花は時間が立つにしたがって黄ばみ、これと新しい白い花が交じり合う風情から「金銀花」の雅名もある。 

古代ギリシア建築のオーナメントとしてお馴染みのものだし、単体で、また唐草にアレンジされて、根強い人気を保っている。 

英名honeysuckleは、蜜蜂が好んでその甘い蜜を吸いに来るところから付けられたらしいが、和名とも名にやら暗合めいている。 

それはともかく、姿にしろ、名称にしろ、そこはかとないエロチシズムの馨が立ち込めていると思うのは、またしても僕の一人合点だろうか? 

イギリス人はこの花にえらく望郷の念を掻き立てられるものらしいが、文章や詩には別名woodbineの方が普通に用いられる。 

やはり、honeysuckleの字面に僕と類似の連想を催してそれを覆い隠そうとするジョンブル気質だと思うのは考え過ぎかな。 

有名な“Home sweet home"の一節 

As the looks on that moon from our own cottage door. 
Thro' the woodbine whose fragrance shall cheer me more. 
Home! home! sweet home! there's place like home!  
Tehre's no place like home!  

これがアメリカのジャズになると、何のてらいもなくタイトルに使用される。 

そう、Honeysuckle-roseはいい曲だ。 

さまざまな歌手や演奏家の名唱、名演目白押しだが、ここはやはりアニタ・オディのものをお薦めしたい。 

しかしこの尻尾についてるroseはどういう意味なのかな。ひょっとして全然別の花だったりして。 

すいかづらの花詞は「処分することの愉快さ」(これはsweetness of dispositionの僕なりの意訳)で、これも深読みするとなかなかに含蓄がある。
 
●愛よりも尚甘き蜜忍冬 

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