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歌集 APPLE−PIE

「サンボ通信」第六号

A was an applepie
天使暗殺凶器は団栗の矢芸術も事故継母の作る林檎詰菓子

B Bit it
地下室に青き寝台少年は気球にて去り地上では肉屋と銀行家の闘争

C cut it
教會の燭台の下駒鳥の棺烏金絲雀カナリア候鳥ら流すそら涙

D Dealt it
悪魔酔死喇叭ラツパ水仙和音を奏で歯医者は金剛石の義歯を掘り起こす

E Eat it
欧州の果て東方の入口に立ち尽す八人の探検家失敗の元は象の玉子

F Fought for it
如月の第一金曜日狐の笑劇演出花は焔に食料は霧に百姓は蛙に化す

G Got it
賭博師は灰色無頼漢は緑ジンに溺れた少女の霊は葡萄色に透く

H Had it
牝鶏の心臓馬の毛柊の角持つ狩人は休日毎に地獄巡り

I Imspected it
無邪気な想像力病に伏して印度洋上で揺篭期活字本を間奏曲とす

J Joined for it
木星旅行なら水無月跳んだ冗句にも嫉み合ふ日本人とユダヤ人

K Kept it
知識など結び目を解く鍵にはならぬカンガル−に接吻せよ騎士

L Longed for it
月桂樹の葉裏に天道虫自由とは永遠に貴婦人の眠り醒まさぬための子守唄

M Mourned it
推理小説的真夏の夜の夢母様鵝鳥鏡に映る天の川

N Nodded at it
霜月生れの看護婦仇名は北の方名前とは臍へそに似て行き処なし

O Opende it
樫の木に棲む梟ふくろふが持ち来る神無月の奇妙な神託

P Peeped in it
笛男半島を越え白熊の下へ赴けば姫の枕は乾く間も無し

Q Quartered it
質問は禁止また引用は四半分を越ゆべからず女王陛下の口頭諮問

R Ran fo it
雨の後虹より紅き革命架かり薔薇は根こそぎ病めり野鼠のため

S Stole it
蝸牛蛇蠍雪貝の殻六片ペンス硬貨のみで売りたき魂こころ

T Took it
時間旅行の切符は七面鳥の親指ただし薊あざみに触るゝは禁忌

U Upset it
究極の逆戻り現象醜き一角獣は天王星に大学は下着に宇宙は無可有郷に

V Viewed it
処女航海のため虚栄の市で鈴蘭を買へば洋琴は勝利の鎭魂歌を捧ぐ

W Wanted it
西の風柳を撓たわめ羊毛を鬘にす白い言葉は週末の円舞曲

XYZ and All wished for a piece in hand
掛け算は割り算よりも×××木琴の調べ憎むソクラテスの妻

Y昨日に向けて疾る快走船乗員は皆ガリバ−の嫌う黄色いヤフ−

Z亜鉛避難所で狂信的拝火教徒を支配する十二宮の獣神


歌集『APPLE-PIE』は、「サンボ通信」第六号(1988/01/25)に掲載したものです。表紙のカットからも判る通り、マザーグースのよく知られた童謠を踏まえたものです。テーマというより、原作がABCうたであることに倣って、AからZまで、アルファベット26文字で始まる英単語を日本語で、26首の歌に詰め込んだというもので、発表当時は、何が何やら訳が分らないと、いろいろお叱りを受けました。日本語の歌としてだけでも楽しめる作品に仕上げられなかったのは、Morris.の未熟ですが、当時は、この謎めいたところが気に入ってました(^_^;)
今、読み直してみるとかなり無理した歌もありますが、やっぱり懐かしさが先にたちます。
お閑な方は、和英辞典片手に、言葉狩り(^○^)をお楽しみ下さい。 

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