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歌集タイトル
Morris.部屋開設四周年記念公開

放埒はうらつの限りを尽くし潔く風に微熏を託す兄君
小寒一候・梅花

満を侍し深山みやま御殿に冬篭り触れねど陥ちむ贋椿姫
小寒二候・山茶

蒼醒めし臺うてなに潜む淫蕩の血筋は救済不可的自愛
小寒三候・水仙

枝尖さきの釘状の香華かげむら咲きて春愁遣瀬無し沈丁花
大寒一候・瑞香

いたづらに幽玄枯淡瀟洒奢侈君子の交り淡く悲しき
大寒二候・蘭花

白花は盛り知らずに咲き納む石女うまずめの情じやう在るや非ずや
大寒三候・山礬

黄梅は春の魁さきがけ殺気立ち鞭を彩る絹紐リボンにも毒
立春一候・迎春

甘きより酸味懐かし櫻桃さくらんぼ酒と煙草と嗄声だみごゑの歌手と
立春二候・櫻桃

こぶの如雪玉の如蕾より春の光を擲なげうつ辛夷
立春三候・望春

一面の菜の花畑朦朧と少女の母は今も立ちて居り
雨水一候・菜花

杏ジャム杏仁豆腐杏花村未見の花は常に満開
雨水二候・杏花

滑らかな磁器の面おもてに影彫りの李すももの枝は西方を指す
雨水三候・李花

桃の花桃色に酔ふ心地して浮かれ女達の髪飾りに供す
啓蟄一候・桃花

八重やへも良し単衣ひとゑ尚佳き山吹を愛す心を見失ふまで
啓蟄二候・棣棠

詫び暮らし棘も外見とみより優しうて微風に顫ふるふ大和野茨
啓蟄三候・薔薇

あでやかに紅粉散らし飛立たむ蛾の舞ひ真似ぶ海棠の花
春分一候・海棠

白きより白きに移る花瓣はなびらゆ透かし見る空の青の青さよ
春分二候・梨花

大人たいじんの風格故に心底の機微と迷妄まよひを牲いけにへにせし
春分三候・木蘭

天を突く縁の色の花の搭傲慢てふ毒の魅力に抗ひ難く
清明一候・桐花

麦青し踏まるる程に生命充つ汝が性さがをしぞ憎く思ふ日
清明二候・麥

雨に濡れ風に吹かれて美しき花柳界てふ煉獄に生きて
清明三候・柳花

重き花いと貴たかき花弱き花天上の花不可視なる花
穀雨一候・牡丹

龍の眼は吐金茨ときんいばらで拭ぬぐふべし愛多ければ生き恥もまた
穀雨二候・茶靡

双葉より芳かんばしからぬ噂の木何時の日か逢ふ契りの軽さよ
穀雨三候・楝花

二打ダースの花の音信たよりを気紛きまぐれな風に託せし空の献花に
二十四番花信風


サンボ通信第16号(1991/01/01)所収。
日本の暦の「二十四節季」それぞれに、花を当てはめて、それを「花信風」と名づける。

それをそのまま各首のテーマに並べて、二十四首とし、最後にまとめの歌をくっつけてみた。

10年以上前の作品ということになる。
Morris.部屋(Morris.in Wordland)開設4周年を記念して、2002年11月5日に、このサイトに、アップすることとした。

季節的にやや早とちりだが、今年の冬は早く訪れそうだし、
「冬来たりなば、春遠からじ」ということで、
強引にこの歌集を公開することにした。

これで、Morris.の過去に作った歌集で、サイトにアップしていないものは、二つを残すだけとなった。

歌の後の、各節季の後にあるのが花の名だが、異説もあるようで、必ずしも、上の歌と一致しない場合もありえる。

2002年11月5日 Morris.記


以上の説明に大きな間違いがあった(^_^;)
「二十四番花信風」というのは、「二十四節気の中の、小寒から穀雨の八候を、それぞれ三つに細分し、それぞれの候の花を当てはめたものである。
22年間ずっと、この明らかなミスに気づかずにいたようだ(>_<)

ついでに、これらの花をカラー写真とともに解説しているページを見つけたので、リンクしておく。

http://www.hi-net.zaq.ne.jp/yousan/siki-kasinfu.htm

2013年2月18日 Morris.追記
サンボ通信16号
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