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歌 集 雑 季 鳥  bird random
サンボ通信第11号


憂きことを己の業
ごふと思ひ成し聲聞く時ぞかもめ近したしき
かもめ

木偶坊でくのば魚は浮木まんばう花は木瓜ぼけ沖の大夫たいふの仲間優しき
信天翁 あはうどり

島流し海のハイエナ恥晒し身捨つるほどの矜恃無ければ
海猫 うみねこ

早朝あさまだき湖面を横切よぎる鳥の道瞳切り裂く瑠璃の閃光
翡翠 かはせみ

その性はデラシネ擬もどきの浮き巣にも人見知りにも明らかにして
かいつぶり

二打ダースを一からげにして六文で売られてゐしが買ふ人も無し
黒鶫 くろつぐみ

お馴染みの主役不在のオペレッタ射殺の至福醜聞の快楽けらく
駒鳥 こまどり

寸劇の台詞「ケ−ン!」の一声を切なく吐きぬ園児の吾は
雉子 きじ

花見時王子の森の鳥舎前落花を呪ふ丹頂の聲
つる

色物の芸人崩れと生来の声を忘れし物真似鳥と
九官鳥 きうくわんてう

剽軽な団体旅行世話し鳴く目白唖なら良かつたものを
目白 めじろ

顔色を変へる特技も役立たで繰り返される聖誕日の虐殺holocaust of Xday  
七面鳥 しちめんてう

蜜を吸ふ原色写真を見る度に思ふ「蜂鳥と雀蜂」的対句
蜂鳥 はちどり

雨を愛で人に愛でらる所以は何?汽罐車と相似の象形文字 ヒエログリフ
つばめ

惑はずと人には言へど信濃なる空からの巣箱の戀ひしかるべき
四十雀 しじふから

労咳らうがいも彼の鳥も亦諸共に時代遅れの象徴めいて
杜鵑 ほととぎす

さへづりは極々上吉色は粋その糞ふんまでも餅肌の素
うぐひす

麦畑我が世の春を告げる場所上昇志向の権化と呼ばへ
雲雀 ひばり

職業は打楽器奏者パーカッショニスト実体は神と人との二重間喋
啄木鳥 きつつき

黒無垢の花嫁衣装今日だけは三千世界の弔事てうじも延期
からす

盗賊もイエスも蜥蜴とかげも蛙まで平等に刺せ速贄はやにへとして
百舌鳥 もず

篭の中女系家族は子沢山近親相姦極まりて後
十姉妹 じふしまつ

韓人からひとの吉鳥と言ふ翼もて彼と吾との懸け橋となれ
かささぎ

闇を領す鳥属きつての哲学者獰猛にして愛嬌の有り
ふくろふ

今一度生れ変はらば水際立みぎわだつ語彙の詐欺師に成りたきものを
五位鷺 ごゐさぎ



サンボ通信第11号(1988/11/25発行)所載。
Morris.は鳥類は、あまり馴染みが無く、本歌集の素材に関する知識も書物から得たり、いにしえの和歌などから喚起されるイメージから作った物が多いようです。現実の鳥の生態や習性と、矛盾する個所があればご指摘ください。
この1988年という年は、Morris.にとって、韓国へ行き始めた年として記憶に刻まれています。
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