購書道楽
本を読むのが好きだった。手元にいつも何か読むものがないと落ち着かない。とうとう、「読むこと」が仕事になった。そんなおっさんの、書籍購入記録です。「書評」などという、大層なつもりは金輪際ありません。「こんな本を買った」という書籍紹介の頁です。

◎鄭雲鉉著/武井一訳『ソウルに刻まれた日本−69年の事跡を歩く−』(1999年12月15日桐書房) ISBN4-87647-458-3
 ソウルの街を独りで歩いていると、造りの良い近代建築にしばしば出会う。しかも、私達日本人の感性には、何となく落ち着く感じのする建物ばかりである。その理由と来歴を、一つ一つを丹念に解説してくれる一冊である。

◎野崎充彦『朝鮮の物語』あじあブックス002(1998年6月1日大修館書店)ISBN4-469-23142-8
 本書の「まえがき」にて著者は言う「自分の好みにあわせ、相当恣意的に取捨選択されており、体系的な知識からほど遠い」と。しかしながら、私はこれまで、一つの文化体系における物語の歴史を、こんなに楽しく読んだことはなかった。この著者で、韻文の歴史も読んでみたいと思うのは贅沢だろうか。
◎野崎充彦『青邱野談−李朝世俗譚』東洋文庫670(2000年5月9日平凡社)ISBN4-582-80670-8
 上記書で、一際著者の気合いを感じたのは、第6章「稗官文学の系譜」と第9章「野談の世界」。その具体的な作品世界を、現代日本語で再現して見せたのがこの一冊。最近、ふとしたはずみで李朝に興味がわいていたことともあいまって、これまた楽しませていただいた。「瞼の母」も、あちらでは「父」に置き換わるのですなぁ。
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