Anderssen-Steinitz,1862,London


14...b5まで
a 棋譜再現 s

自陣を顧みず、敵将の首だけを追う。一本勝ちの美学。
 Anderssenは勝負所で決めて見せる大技が一番の魅力で、そこまでの悪手をどうこう言っても意味が無い。いわば、善人だろうと悪人だろうと末期の往生が叶うか否かですべてが決まる『歎異抄』的な世界観である。彼の名局といえば「Immortal」と「Evergreen」。反面、その二局でしか知られない、というのが気の毒である。調べれば他にも面白い棋譜がたくさん見つかる人だ。
 大敗したMorphyとのマッチで見せた初手a3という変な手もあり、序盤が下手という評価も固まっている。しかし、あの手にはそれなりの根拠があり、実際、戦績も1勝1敗1分で悪い作戦ではなかった。思うに、Morphyと比較するのが酷なのだ。そんなわけで、なかなか序盤も巧みなのを紹介してあげたい。図からの一手は15.Bxf6.gxf6、それは当然として、問題はその次である。