Capablanca-Tartakower,1924,NewYork


34...gxf5まで
c 棋譜再現 t

家では盤も駒も見かけませんでした、と奥さんは言う。
 さらさらっと駒を交換して、純粋にされた局面はもうCapablancaの勝ちになっている。至芸だ。そんな棋譜がたくさんあって、この一局も例外ではない。けれど、誰もが言うように、形勢判断はとても難しい。白には有望なパスポーンがg筋にあり、また、ルックが敵王を最下段に押さえ込んではいる。でも反面、黒のルックも強力で、白ポーンを軽く掃討してしまいそうに見えるのだ。次の一手は35.Kg3、これをCapablancaはいつもどうりの少考で指したに違いない。黒に王手で35...Rxc3+と取らせるのも意に介さなかった。
 Capablancaの明快な終盤技術をFischerやKarpovは学んだ。そう聞いた私は チェスの勉強を始めるにあたって、Capaの本を最初に読んだ。似たような日本人が昔は多かったのではないか。久しぶりに並べ返して、なんとも清々しい。21世紀には流行らないチェスかもしれないが、永遠の基本形だろう。