Nimzowitsch-Tarrasch,1914,St Petersburg


18.Nxd2まで
n 棋譜再現 t

「チェスには、音楽のように、恋のように、人を幸福にする力がある」。
 「ナイトを端で使うな」みたいな格言はたくさんあるが、Tarraschはそうした格言の権化と言われることが多い。とっつき難い性格もその印象を強めてきた。新理論のNimzowitschと意見が合わなかったことは決定的で、「硬直した保守主義者」の汚名がTarraschにはつきまとう。私はとても口惜しい。
 Laskerよりも早く彼がSteinitzに挑戦する話しもあったらしい。実現していれば間違いなくTarraschは勝っていたろう。彼は医者を生業としており、患者を抱えていることが挑戦の障害になったという説もある。Tarraschがタイトル戦に登場するのは1908年。もう全盛期を過ぎており、Laskerに惨敗した。
 図は怨敵との一戦。落ち着いた局面に見えるが、次の一手は18...d4。これをきっかけにして盤上に暴風が荒れ狂う。