Pillsbury-Lasker,1896,Nuremberg


24.Bd7xa4まで
p 棋譜再現 l

無敵時代のLaskerに5勝5敗4分。彼だけだ。
 並外れた記憶力や目隠しチェスのエピソードのおかげで、Pillsburyを曲芸師みたいに思っている人も多いだろう。私もそこから興味を持ったのだが、それだけで済まされるのは残念でならない。
 彼を19世紀的な古い棋士として解説する人さえ居る。馬鹿な。たとえば、Queen's Gambitの発展は彼なしに語れない。Cambridge定跡、Pillsbury Attack。今では常識のBg5だって、彼の貢献が大きい。そしてMinority Attack。どれも現代的な深い陣形把握の業績ではないか。
 とは言え、Pillsburyの魅力は、19世紀どころか中世の騎士物語のような、壮絶で、しかも香り高い連続攻撃である。上の図はすでに相当な駒損。しかし、まだ流血が足りない。次の一手は25.Ndxe6!対するLaskerの応手もただ者ではなかった。二人の対決譜を並べるのは好きだ。史上屈指の好敵手である。