Staunton-Morphy,1858,London


23.Re4まで
s 棋譜再現 m

世界を華麗になぎ払い、そして置き去りにした「チェスの誇りと悲しみ」。
 ひとめ、すごい局面である。Stauntonのクィーンがa8に居る。どうやら、Morphyはルークを取られてしまったようだ。ところが実はこの局面、すでに逆転しているのである。もっとも次の一手がわからないと仕方ない。それは、23...Kh8! つまり、狙いはクィーンをc7-g7-h6と転換させてメイト。あまり有名な棋譜ではないが、展開重視の大局観、不利な状況での暴れ方、反撃の態勢づくり、いずれもキビキビしていてMorphyらしい。いまさら「オペラ座」を紹介するのも気が引けるし。
 この一局、正確にはStaunton-Owen組とMorphy-Barnes組の相談試合である。OwenもBarnesも強豪で、特に後者はMorphyに対し最も良い成績を残したことで知られている。しかし、指し手に関する発言権を強く持っていたのは、StauntonとMorphyであったろう。あえて二人の対局として御紹介する次第である。