Zukertort-Steinitz,1886,New York


15.g3まで
z 棋譜再現 s

19世紀の想像力v.s.20世紀の構想力
 黒のナイトは引き下がらない。次の一手は15...Ng2+である。そして、白の16.Kf1に対し、Steinitzは16...Nxe3+と捨てた。それで指せるという形勢判断が素晴らしい。中央を押し込まれて、白の駒があまり働かないのを勘定に入れている。Q翼から押し込むのを好んだZukertortとの対比が鮮やかだ。
 Steinitzの棋譜を並べると、相手が無謀な攻めを何度も試みるので痛ましくなってくる。Steinitz自身ももとはそんな棋風で、それですでに超一流だった。よく変える気になったと思う。Zukertortにそれが出来なかったことを責められない。このマッチの第2局がそうだが、Zukertortが勝つ試合はとても絵になる。そこにリアリティを感じるのが普通だろう。何がポジショナル・プレイ誕生のきっかけなのか、ニュートンのリンゴのような伝説があってもいいのに。