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欧州選手権、アンギャン=レ=バン、『ドローへの愛』

03/07/13 
 エスビヤオは案の定というか、おまえもか、ということで、ドレーエフとマックの直接対決は12手でドロー。おかけでサシキランまで追いついて、三人が仲良く同点優勝。また、ノルウェー選手権も終了。例の12歳は3位に食い込みました。
 それより訃報、ケン・ワイルド。77歳。我が座右の書、オックスフォードのチェス事典を書いた人。私がAからZまで読んだ事典のひとつですが、共著のフーパーもすでになく、これで3版は出そうもなし。ちなみに、私は現行の2版よりも初版が好きです。選局に特に差がある。また、ワイルドはアリョーヒンの伝記を準備していたようで、もう未完のままでも、出せる部分があれば出してほしいですね。
03/07/12 紹介棋譜参照
 フィラデルフィアの大会に羽生善治が出場。朝霞の掲示板で知りました。4勝3敗2分、240人中60位から92位という成績。羽生は昔からキングス・インディアンを指してますね。優勝はEhlvest。久しぶりに聞く名前。Kosteniukも出場、6勝2敗1分、11位から17位、賞金は300ドル。旅費も出ない。あと半点あれば首位と並んで、優勝できなくても3050ドルになるところでした。ちなみに優勝賞金は3550ドル。小さい大会の雰囲気が出てますね。棋譜が少ししか手に入らず、羽生の良い棋譜を見つけ難いのですが、ベンジャミンに駒得で引き分けたのを御紹介しておきます。ベンジャミンは、どうもこれで優勝をあきらめたようで、残りの試合を欠場した模様。
 エスビヤオはマックシェーンとドレーエフが並びました。今夜が決戦ですが、さて。
03/07/11
 エスビヤオはマックシェーンとサシキランがトップ。ドレーエフが半点差で追っている。なかなか面白い展開だが、忙しくって見られないのが残念。
 ポノマリョフとカスパロフのマッチは、九月上旬でなく下旬あたりらしい。決着は十月に着くとか。微妙に予定が変わっているが、大統領の肝いりだけに、実現するのは確かだろう。勝敗に関しては、私はポノマリョフが勝つのではないか、と思っている。まだ若いが、彼は歴史に名を残せるディフェンダーだ。何より勝負強い。
03/07/08
 半年かかって『Super Tournaments 2000』(ソロビョフ編、Chess Stars刊)を読み終えた。2000年の主要13大会の棋譜を300局収録したもの。一局々々の解説が詳しく、また、インタヴュー等の記事も充実している。欠点は、オリンピアードとカスパロフ対クラムニクのマッチが入ってないことだが、許そう。アマゾンでいま4066円。2001年版は聞かないが、こないだ2002年版が出たようである。
03/07/07
 オランダ選手権はヴァン・ウェイリーの優勝。四年連続とか。前日までずっとトップだった16歳のステルワーゲンは最終戦に負けて二位。
 ノルウェー選手権は半分が終わったところ。12歳、カールセンの健闘が話題になっている。この大会でうまくいけばIMになれる。彼に稽古をつけたことのある、ChessTodayのバブーリンによれば、「すんごく才能がある」とのこと。
 デンマークのエスビヤオ(いろんな読み方をされてる)でノース・シー・カップ。参加10人で、ドレーエフと若者マックシェーンが居る。ドレーエフの優勝は堅いと思うのだが、マックも面白いチェスを指しているので、良い大会になるかもしれない。直接対決は最終日に用意されている。12日。
03/07/06 紹介棋譜参照
 件の小説のおかけで、久しぶりにラスカーとシュレヒターのマッチを並べました。レベル高いですね。初戦のルーク・エンディングでドローをもぎ取ったラスカーの妙技、第七局もわくわくさせる。そして何より、最終戦の激闘。古い試合ですが、これを紹介棋譜にしておきましょう。
 アゼルバイジャンで行われた20歳以下の世界選手権は17歳のマメディヤロフ君が優勝。ルイ・ロペスの黒番ではシュリーマン・ディフェンスを採用したりする、ちょっと面白い奴かもしれません。
03/07/05
 『ドローへの愛』、あっという間に読み終えました。読後に余韻が残る良い本です。ぜひお買い上げを。主人公カール・ハフナーは、昨日も述べたようにカール・シュレヒターがモデル。小説か評伝か、区別しにくいところがあって、たとえば、シュレヒターはユダヤ人だと思うのだけど、ハフナーはどうも違うらしい。また、"カール・ハフナー"は祖父の名をそのまま孫が受け継いだという設定。そして、この祖父はウィーン喜歌劇の傑作「こうもり」の台本作家カール・ハフナーなのです。現実はどうなんだろう、シュレヒターもあのハフナーの孫だったんだろうか。良い所、いろいろある本ですが、ネタばらしになるといけないので、この辺で。
03/07/04
 本屋さんで目に留まったのが『ドローへの愛』。人がドローを減らそうとしてる時に?、と思ったが、とにかくたしかにチェスの小説である。2400円はやや高めだが買ってやらねばなるまい。1910年のラスカーとシュレヒターのマッチを題材にしている。負けていたラスカーが最終戦でやっとタイに追いつき、かろうじて防衛した伝説のマッチだが、あまり知られてないのも確かだ。「あれは正式なタイトル・マッチじゃないんだ」なんて言う人までいる。いま、第一戦が終わったところまで読んだが、翻訳の文章もなかなか良い。作者は新人のトーマス・グラヴィニチ。西川賢一訳。河出書房。六月刊。
03/07/01
 ChessCafeのコラムでドボレツキーが、「合意のドローを無くそう」という提案をしている。先月16日に御紹介したような、勝ちを3点に数える方式には彼は反対の様子。引分けも立派な試合結果だから、それ相応のポイントを与えられるのがふさわしい、という考え。同感だ。引分けの得点を下げることは、不利を粘り抜くモチベーションの低下を招くかもしれない。彼の言うとおり、無くしたいのは「引分け」ではなく「つまらない引分け」なのだ。
 また、マッチ形式では1勝で何点もらえようと今までと何の変わりもない。さらに、私が思うに、現在の1点法の「2勝0敗1分」と、3点法の「1勝0敗2分」が同じ価値を持つような気がしてならない。それなら、3点法はむしろ引分けを増やすのではなかろうか。
 といって、ドボレツキーの提案のように合意のドローを廃止して、引分けの裁定を審判など第三者にゆだねるのも、公平性に疑惑を生じさせる。本当の問題は、現在の合意ドローが談合のような引分けに悪用されていることだ。つまり、ルールよりも棋士社会の問題なのであり、賞金の額とか分配法の改正の方が効果があろう。が、たぶん、効果的な賞金制度は棋士を減らすほど残酷になる気がする。
03/06/29
 ロンドンのギルバート・コレクションがチェス・セットを公開してる模様。ChessBaseが何枚か写真を紹介してくれている。くだらないのも目に付くが、ためいきが出るのはファベルジェのセット。これひとつしか知られてないとか。日露戦争の敵将として我々にも馴染み深いクロパトキンのために作られたそうだ、1905年。うーん、彼はチェスでも引く一方だったろうな、こんな名品、もったないぜ。ファベルジェを御存知無い方は「ロシア皇帝のためにイースター・エッグを作っていた奇跡の名工」を調べてください。もひとつ、ついでに、草間弥生のかぼちゃセットも。
03/06/28
 コステニクのホーム・ページをのぞいたら、彼女、マイアミで御休みしてた、とのこと。海やプールでくつろぐ写真あり。NICは彼女がフォックス・ウッズ大会に出たことを好意的に報じています、「さわやかな空気を吹き込んでくれた」。7ラウンドで4.5点、128人中の24位。信じてるよ。
03/06/27
 八日にもちらっと書いた、カスパロフとポノマリョフのマッチに関して、イリュムジノフとクチマが話した件、どうやら実現しそうである。九月上旬、とのこと。場所はウクライナの首都ヤルタ。イリュムジノフが3億ドルを出すらしい。チェス史上最大のパトロンというわけだ。彼の金で戦うことを旧敵カスパロフはどう思ってるのだろう。何より、あの不思議な大統領の発言力がますます強くなるのはチェスにとってどうなんだろう。ちなみに、彼がこれほどの資産家になった、その基礎は日本の中古車で儲けた金である。
03/06/25
 最近、シシリアンの序盤の数手に異変が起こっている。2.Nf3.Nc6が増えたのは理解できるにしても、その後の3.Nc3や3.Bb5が目立つのである。どうも、スベシニコフを避けよう、ということらしい。10年前のスベシニコフは勝率が低かったものだが。3.Nc3なら、マロッツィ・バインドの恐れがなくなったので、黒はBg7の構想を立てれば良い、と私は思う。しかし、多くの場合、3...Nf6。これは4.Bb5で、白にそんなに不満が無い、と私は覚えたものだ。これが一時的な傾向なのか、それとも歴史的な転換につながるのか。いつもならどうでもいいような立ちあがりの数手に注目である。
03/06/23
 アンギャン=レ=バンはバレーエフもアダムズも引分け。バレーエフの優勝。最終戦の相手はコルチノイで、老雄はキャスリングもせず、何か見せてやろうと狙っていた感もあった。けど、うまくバレーエフはなだめてしまったようだ。アダムズはアコーピアンに駒得のルーク・エンディング。しかし、勝ちが無い。R+2P対R+Pまで戦って、おつかれ!
03/06/22
 さあ決戦だ、と深夜にアンギャン=レ=バンを覗いてみたら、、、御目当ての一局はとうに引分け。やっぱりバレーエフの白番は堅いや。で、観戦を止めてしまったのが私の甘いところで、面白い試合が他にあったようだ。不調のアコーピアンは絶望的な駒損を堪えに堪えて、フレシネからドローを獲得。また、ボーエルがコルチノイを倒した一局も見事な出来だった。
 「Chess Today」が奇妙な例を報告していた。古いFritz5.32ならきちんと詰めてしまうのに、最新のFritz8がうまく処理できない局面がある、とのこと。
03/06/21 紹介棋譜参照
 昨夜のアンギャン=レ=バンは全部引分け。バレーエフがナイトとビショップを捨てたのが面白かったが。さて、今夜がラス前、しかも、バレーエフとアダムズの直接対決。アダムズが黒番らしいが、何かしてくれるだろう。他には、ポルガー対ラジャボフも面白そう。
 最近、紹介棋譜が無いからここでひとつ、いま読んでいる、NICの最新号03/4から。グリュエンフェルドのポーン交換からの有名な定跡で、白がルークを捨ててビショップを取るやつ。90年代には絶えていたこれに復活の兆しがあるらしい、という話。活気のある定跡がよみがえるのは良いことだ。この14.d5!はブロンシュタインの創始とか。1950年。
03/06/20
 アンギャン=レ=バンはバレーエフとアダムズが点を伸ばして、単独の一位と二位に。バレーエフはフレシネ(と読むのかな)を相手に、最後はルーク1個対ポーン5個という珍しい終盤になった。結果はルークの勝ち。アダムズは、ラジャボフに「ポジショニングの御稽古」をつけてあげた、という感じで完封勝ち。自陣の弱点に「数の攻め」を狙われて、まだ駒の損得は無いながらラジャボフは投了。
03/06/19
 アンギャン=レ=バンはバレーエフがロチェをきれいにさばいて黒番で勝利、単独トップ。アダムズはゲルファンドのクィーンを自陣に突っ込ませる危ない展開でしたが、うまく反撃してドロー。彼と並んでポルガーも二位。ただ、棋譜からの感じとしては、やはりアダムズとバレーエフを推したい。
03/06/16
 アンギャン=レ=バンはラジャボフがゲルファンドを倒した一戦が面白いですが、チェス界はそれどころでない、という感じかも。イリュムジノフ大統領が、勝ち点の新しい計算方式「勝ちは3点、引分けは1点」というのを提案したようです。無気力な引分け試合を減らすための策。この案自体は昔からあるものですが、今回はFIDE会長の発言だけに重みがまったく違う。棋士たちの棋界政治に関わるいろんな思惑もからむので、議論の成り行きに注目したい。
03/06/15 紹介棋譜参照
 ヨーロッパ選手権はプレイオフも終了。シロフの奥サンCmilyteは準優勝ということになりました。こないだ話したChessBaseの写真には彼女の慎ましい笑顔も載っています。他には、私が注目したPokornaも世界選手権の出場権を賭けてプレイオフを戦ったのですが、負けてしまった様子。
 パリから遠くないアンギャン=レ=バンという所で別の大会が始まっている。ゲルファンド、バレーエフ、アダムズ、ポルガーといったところが優勝候補。他にはアコーピアン、ロチェ、ラジャボフ、コルチノイなども居て、役者がそろっている。アダムズがロチェをきれいに倒した一局、バレーエフがアコーピアンを丁寧に受け潰した一局、がそれぞれ「らしく」て好調を感じさせる。前者を御紹介しておきます。
03/06/14
 『Informant86』が届いている。真っ先に見るのが好局ベスト10。一位は私の好きなドレーエフがスビドレルを下した一戦。ドルトムントのレコは三局がベスト10入りしているものの、三位が最高。すごく意外。昨年のレコは「引分け王子」(私の命名)の称号を返上した大活躍だったのに。チェス・オスカーも二位に終わったとか、クラムニクとのマッチが盛り上がらないとか、彼の人気の無さは残念である。
 ヨーロッパ選手権の「決勝」は、よくあることだが、あっさりと引分け。優勝の可能性を持った人が最終戦を頑張らない、というのは不思議な習慣だと思う。
03/06/13
 ヨーロッパ選手権は「ラス前」の激戦が交わされた。ヴァン=ウェイリーがアズマイパラシビリを意欲的なクィーンの出撃で刺激、アズマイの疑問手を引き出したが、自らも誤って負けた。一方、グリシュクはまたも黒番だった。相手はグラフで、序盤は前日とまったく同じ「引分け定跡」。しかし、この夜のグリシュクは勝ちを焦っていた、あるいは、グラフを軽く見ていたのだろう、グラフの攻めっ気を誘おうとする。危なっかしい気がして、私は観戦を途中で止めてしまった。朝になって結果を見ると、中盤に大きな見落としがあり、案の定、負けている。無論、グリシュクを非難するつもりは毛頭無い。これで半点差の二位になったグラフの最終戦の相手は他ならぬアズマイだが、どんな戦い方をするのだろう。ついでに言うと、ゲオルギエフも引分け。中盤のかなりきわどい局面だった。
03/06/12
 ヨーロッパ選手権をトルコで行う、というのがいささか奇異なのだが。たぶん、トルコの悲願「EU加盟」という国策と関係あるのではなかろうか。それだけに立派な大会運営が望まれるが、187人の参加者が棋士組合へ公開書簡を送って、ホテルの待遇や料金に文句をつけてるらしい。これはこれで、トルコの悲願を阻止したい、という別の国策があったりするのかもしれない。
 大会もあとちょっとで終わり。アズマイパラシビリとグリシュクの直接対決があった。残念ながら追う身のグリシュクが黒。それもスラブに。で、戦う気の無いアズマイはさっそくポーンを交換。たった10手で引分け。無茶をしないグリシュクに大人を感じた。一方、ゲオルギエフは白番なのに自分のポーンで駒が閉じ込められる展開。私を心配させたが、最後は引分け。結局、首位のアズマイを半点差の12人が追うという混戦に戻ってしまった。
03/06/10 紹介棋譜参照
 ChessBaseに、ヨーロッパ選手権の女性選手の写真がいろいろ載っていて、みんな素敵な感じ。特に美人で目立つのがスロバキアのRegina Pokorna、21歳のWGM。7ラウンドまで2勝2敗3分。Krivec戦の切れ味がたまりません。駒損のうえ、相手のポーンまで成り込ませ、そこで、ズバッ。
03/06/09 紹介棋譜参照
 レオンはポノマリョフが優勝。トパロフが新構想と妙手で名局を生みつつあったのに、なんと時間切れで負け。変な優勝?いや、そんなことはない。ポノ君が勝負師として一流であることがわかりました。カスパロフ戦、楽しみです。
 ヨーロッパ選手権はアズマイパラシビリが得意のピルツで単独トップ。半点差で追うのは4人。ようやく絞られてきた。そして、この4人にグリシュクもいる!人の良さそうなマックシェーンのクィーンをだまし獲った感じの一局が、なかなか鬼気せまるものがあって、これを御紹介しましょう。彼、本気モードの猛追体勢、と見ました。アズマイ、ゲオ、グリ、この三人の争いか。
03/06/08 紹介棋譜参照
 レオンはポノマリョフがヴァレリオを一蹴。少年は年頭のゴタゴタの痛手から立ち直ったみたい。リナレスで彼の回復に努めたラズバエフというベテラン・コーチに私は好感を覚えたのですが、なかなかの人なのかもしれません。さて、トパロフとの決勝、私はポノ君を応援。
 ヨーロッパ選手権はさらにヒート・アップ。22人が半点差に。グリシュクも遂に追いついてきた。若いから後半に強いかも。首位者ではゲオルギエフに注目。面白い棋譜を残して好調、紹介棋譜をどうぞ。
 ところで、FIDE会長のイリュムジノフ大統領が、ウクライナのクチマ大統領と接触したらしい、とのうわさ。カスパロフ-ポノマリョフ戦に関しての交渉か。九月に実現するかも、という希望的観測あり。
03/06/07
 レオンは、まずトパロフがカルヤキンを下しました。むかし、初めてカルヤキンの棋譜を調べたとき、惨敗のチェスをいつまでもだらだら指しているのを見つけて、「ああ、負けず嫌いのガキだなあ」と思った。今回も、勝たねば敗退の最終局は総手数112手。なんと、終局の初歩で教わる、ポーン1個のステールメイトまでカルヤキンは指して引分けた。
 ヨーロッパ選手権の首位争いはぐちゃぐちゃ。半点差に19人がひしめいている。イワンチュクもグリシュクも波に呑まれて、ポイントが伸びず苦戦。
03/06/06
 クラムニク―レコ戦延期のとばっちりで、ポノマリョフもカスパロフとの対局が無くなってしまったらしい。スペインはレオンの大会に出場。早指しの、期間も短い大会。参加者は他にトパロフ、カルヤキン、ヴァレリオ・ポンズ。悪くない顔ぶれ。
03/06/05 紹介棋譜参照
 ヨーロッパ選手権。レイティングからすれば、イワンチュクとグリシュクが優勝候補なんでしょうけど、5ラウンドまで終わって、11人が同率首位。この二人は入ってない。ここまでから選ぶ注目棋譜はIvanisevicとNisipeanu(どう読むんだ?)の一戦かな。
03/06/01
 またまた神童のニュース。カテリーナ・ラーノ(?)。13歳の女の子。ウクライナ。11歳のとき、コルチノイ(ひえーっ)と対局してるんですが、老雄がドローを提案したのに対し、彼女は黙ってクィーンをつまみあげた。「ドローは嫌。あたしのポーンは昇格してクィーンが出来るんだもん」 という意味だったとか。60近い年齢差はもちろん、コルチノイがドロー嫌いである点もおかしい。それでも最後はドローに終わったらしいですが、ギャラリーは大ウケだったでしょうねえ。
03/05/31 紹介棋譜参照
 今週の表紙問題は気に入っていて(CT190)、グレクという人がどんな人なのか知りたくなった。彼は、いまイスタンブールで開かれている欧州選手権に出ていて、初戦のルブレフスキーにクィーンを捨て、見事な終盤で勝利(ただ、棋譜に間違いがありますね)。頑張ってほしいところ。1961年生まれのドイツ人で1996年あたりがベスト。その後調子を崩して、すこしずつとりもどしながら現在にいたる、という感じ。ところどころで優勝しています。ここ一二年が実りの時になるかどうか、という大切な時期なんだろう。
03/05/28
 サラエボの大会は、ソコロフが優勝、この人、忘れた頃に頑張る傾向があるなあ。私の予想は大ハズレ。
03/05/27
 クラムニクとレコのマッチが延期になったとのこと。延期というより実現が危うい。スポンサーが見つからないらしいのだ。世界経済に危機感があってお金が集まらないのと、候補地が中東だったという二点で、イラク戦争の影響を受けているらしい。そういうこともあるだろうが、ほんとのところは、カスパロフがいないと盛りあがらない、ということではないだろうか。
03/05/26
 いままで「つんどく」だった「New In Chess」を古いやつから読んでいる。これも来年以降の更新の準備のため。01/03号はグリシュクのインタヴュー。
 「僕のヒーローだった棋士なんて一人もいない」と言い切ってる。なかなか強気にしゃべる印象だけど、学校生活については返事を拒否。たぶんチェスのおかげで学業不振なんだ。そう言わぬあたり、強いプライドを感じる。
 先輩についても遠慮が無い。「バレーエフの言うことは、本気だか冗談だか見分けがつかないことがある。スヴィドレルは冗談しか言わないし」だと。
 当時よく話題になっていた持ち時間の短縮について、彼は賛成だった。これは珍しい。時間短縮で棋譜の質が落ちることをあまり気にしていないのだ。棋譜の完成度よりも、スリリングな勝負を彼はチェスに求めている。「僕はギャンブラーなんだ。この雑誌には僕のことを氷のようだって書いてあるけど、それって何?」。
03/05/22 紹介棋譜参照
 サラエボでなかなか大きな大会。本命シロフ、対抗バレーエフ、穴ラジャボフ、というところか。ラジャボフはコジュールに勝った一局が良いですね。フレンチとキングスインディアンばかりで、レパートリーの狭さが心配されますが、期待しましょう。
03/05/18
 NICの記事、モナコの大会でクラムニクがトパロフに勝った、その自戦記から。最近のクラムニクは初手e4を試すようになったのですが、ヴェセリン・トパロフは無論、1...c5。で、クラムニク曰く、
「終局後、われながら不思議だったのは、どういうわけで何もかも私に都合よく事が運んだのだろう、ということだった。別に序盤で特別すばらしいことをしたわけではないのだし。それに、ヴェセリンが何か間違ったとも思えなかった。まったく普通に指していたと思う。で、突然、彼は敗勢に陥ってしまった!理由はたぶん、シシリアンは黒が何が何でも負けるように出来ている、ということだろう。これが私に考えられるたったひとつの説明である。」
 あと数行つづきますが、要するに、「シシリアンはハッキリ否定された」。クラムニクの冗談って、あんまり記憶に無いんですが。
03/05/13
 NICの記事から、アイスランドの植林事業の話し。「90年代が下り坂だったアイスランドのチェスを再び盛り上げよう」、ということで、あるチェス・クラブの主催者(Jokulsson氏)が国中の小学校を回ったそうです。しかも、八歳の子の一人一人にチェスの本を配ったのだとか!毎年毎年、そして毎年、、、。いつから始めた「植林事業」なのか詳らかでないのが残念ですが、そのうち大木が育つはずです。ちなみに、配った本の名前は『カルポフのディズニー・チェス・ガイド』。
03/05/12
 「64」誌恒例のでチェス・ジャーナリストの投票によって決まる、2002年度のChessOscarをカスパロフが昨年に続き獲りました。過去八年で5回とか。ベスト10の投票結果は下記のとーり。
   Garry KASPAROV    RUS 3802
   Peter LEKO       HUN 2668
   Vishy ANAND      IND 2453
   Ruslan PONOMARIOV UKR 2145
   Vladimir KRAMNIK    RUS 1471
   Eugeny BAREEV    RUS 1132
   Veselin TOPALOV   BUL  964
   Judit POLGAR      HUN  771
   Anatoly KARPOV    RUS  741
   Alexander GRISCHUK RUS  706
 モロゼビッチは、最近の成績ではちょっと入らないか。残念。ただ、ドルトムントの激闘を考えれば、昨年いちばん輝いたのはレコでしょうに。
03/05/11
 「New In Chess」の最新号03/03号を読んでいる。ラジャボフのインタヴューがあった。彼の文章には少年と思えぬ感じを受けることがあって、「トレーナーが手を加えてるのかな」と思っていたのだが、 彼、大会に連れてくるスタッフは両親だけなんだ。要約すると、
 「自分より弱い人をトレーナーに選んで役に立つとは思えないし、といって、自分がトレーナーを頼みたい棋士は、対戦相手になってしまってる」。
 さすがに、この意見は後で変わるのかもしれないが、ただの小僧ではないな、と思った。

戎棋夷説