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福島瑞穂の記者会見(平成17年3月16日)

元チェス王者ボビー・フィッシャー氏の処遇についての申し入れについて
 本日、法務省に申し入れしました。人権問題として重要な問題です。フィッシャーさんは欧米では有名でチェスの世界チャンピオンになられた方です。62歳になりますが、8ヶ月間、収容されたままです。米国籍ですが、アイスランド政府が外国人パスポートを準備し、いつでも受け入れると意思表示しています。本人も出国を希望しているのに、出国できない状態になっているのはおかしいのではないか、と法務省と交渉しました。ちょっと平行線になりましたが、これからも努力していきます。
 入国管理法の53条は本人の市民権のあるところへ帰さなければならない、それができない場合には今回のケースのように第三国への送還を認めています。法務省はそれを厳格に守っていると言っていますが、大変に詭弁です。これまでにも第三国へ送還したケースはあります。アイスランド政府が本人の受け入れを表明しているのに、なぜ出国させないのか分かりません。本日、アイスランド大使館で大使とお話し合いもします。
 どうしてこのようなことになるのか、何か政治的な理由があるのか、これらの点は疑問です。フィッシャーさんが安全に出国できるまで努力します。

第162回国会参議院法務委員会(平成17年3月17日)

江田五月委員
 ボビー・フィッシャーという、これは先日、外交防衛委員会で私(わたくし)どもの榛葉議員が質問しておりまして、法務大臣、残念ながらはそこはお出になっておらないのですが、しかし事案としてはご存知だと思います。
 ボビー・フィッシャーっていうのはアメリカ人、1972年でしたかね、世界のチェスのチャンピオンになったと、これはたいへんにアメリカからすると拍手、だいたい今まではチェスというのはどうしても東欧に取られていたのがアメリカが遂にチャンピオンになったぞということで、大拍手の英雄なんですね。で、この人がしかし、ユーゴスラビア行ってチェスの試合やって勝っちゃった。賞金もらった、それはアメリカがユーゴスラビアについて経済封裁していたので、アメリカの国内法に反するということなんで逮捕状が出た。彼は国外に出た、以来、アメリカに戻っていなかった、などなどという経過があってしかし、日本に来て、パスポート、アメリカ発給のパスポートがあってちゃんと上陸をしたんですが、その上陸の前にアメリカのパスポートが無効宣言されていたということで、今度出国の時に入管に行ったらそのまま身柄を拘束されてしまったという事案でございます。
 この事案がですね、実はヨーロッパではこれ大変な注目を浴びているんです。榛葉議員の質問がですね、私もちょちょちょっと見たんですが、もう直ちに報道されて、AP、あるいはBBC、あるいはだーっとこう出ていてですね、そして一番新しい報道だと、法務省は、「アメリカへ送り返すほか道は無い」と言いながら、「アイスランドが手を差し伸べればそっちへ出て行く可能性はある」というようなことを言ったと、「If Iceland makes him citizen」というようなことも書いてあって、いまアイスランドの出方が注目されてるところですがですね、
 私はね、入管法53条「本国または市民権のある国とに送り返すものとする」というね、「ものとする」という規定をどう思ってるのか、これはですよ、日本国にとってはとにかく国外に出てもらうことが関心事であって、どこに送り出すかっていうのは、日本国として利害を持ってる事柄じゃないじゃないですか。そうでなくてこれは送り返される人の利害の話じゃないですか。送り返される人が「自分はあそこへ行きたい」と言うのに、「お前はやっぱり本国じゃなきゃダメだ」などと、なぜ一体言うのですか。法律に書いてあることを杓子定規に運用するのも程があると思いますよ。
 私はこれはですよ、なんか、日本がですねアメリカにあまりにも気兼ねをしすぎている、「アメリカからの指示によってあるいは要請によってそうしてるんではない」と言うけれど、要請が無くったって向こうの思惑ばっかりを気にするのはもっと悪いじゃないですか。そう思われませんか、どうですか。


法務省三浦正晴入国管理長
 お答え申し上げます。ただいま委員ご指摘の件につきましては現在裁判中でもありますので詳細な点は申し訳ございませんが、控えさせていただきたいと思いますけれども、
 ご指摘のございました入管法の53条は退去強制を受ける者についての送還先の規定でございまして、「退去強制を受ける者はその者の国籍または市民権の属する国に送還されるものとする」と、こういう規定をうたっております。これはまさに記載文からいたしますと「国籍または市民権のある国に送還すべし」という風に読めるわけでございます。
 これがどうしてこういう規定になったかということについては、詳細には私も承知してないわけでございますが、やはり、ある特定の方については国籍のある国もしくは市民権のある国はその方を受け入れる責務があるわけでございまして、送還の場合にはやはりそういう受け入れの責務のある国に送還するのが大原則という考え方から出来ているのだろう思っております、
 ただ、二項では、、、その、、、よろしいですか、、、


 もう時間が来ましたので。この規定はですね、そら、法務省の逐条解説によっても、これは送り返される者の利益のために規定しているんだと、ちゃんと書いてあるじゃないすか。
 法務大臣ね、私、この関係の人に会って、アイスランドから来られた人にも会いました。彼らはですね、「これでもし、ほんとにこのままアメリカに送り返すということになったら、私たちは日本が国連の常任理事国入りすることについては大いにひとつ異議を唱えるよ」ということなどまで言われてるんですよ、別に脅しに屈することはないけど、だけどね、やっぱりヨーロッパから見たらね、「日本は人権感覚があるのか」と、「こんな国が国連の安全保障理事国になることについてはやっぱり疑問だ」ということを言われかねないですよ。ね、あの、法務大臣、法務大臣も日本は国連の常任理事国入りを目指すべきだとお考えなんだろうと思いますよ。私たちもそれはそうだと思っているんですよ。是非ひとつそーいうことになるためにはですね、やっぱりですよ、国際水準に達する行政しようじゃないですか。最後に一言、お答え、覚悟だけで結構ですからお答えください。


南野(のうの)知恵子法務大臣
 私(わたし)もいろいろと悩んでおりますが、なるべく早い解決を見つけていきたいというふうに思っております。