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第21期竜王戦第四局最終盤、2008(平成20)年11月27日
先手、挑戦者、羽生善治。後手、竜王、渡辺明。熊本県、菊池観光ホテル。



 図が渡辺らしい△8九飛打である。ふてぶてしい。自玉が詰みそうなのに。羽生はもちろん寄せてきた。ところが、、、。

 ▲3八金 △3六玉 ▲4六金 △2六玉

 の図を見ると、



 これが話題になった打ち歩詰めの局面である。言うまでもなく▲2七歩は禁じ手だ。そこで、

 ▲9八香

 が最後の勝負手になったが、渡辺の視線は冷静に正しい方向を見ていた。

 △4九飛成 ▲3九歩 △2九銀 ▲2八金 △3九竜 まで渡辺明の勝ち。



 局後に論じられたのが、最初の図で▲3八金でなく▲4七飛だったらどうだろう、である。

 ▲4七飛 △2八玉 ▲3八金 △1九玉 ▲1七飛 △1八香

で左の図になる。さらに

 ▲2七飛 △9九飛成 ▲9八桂 △3七桂 ▲3九金

 と進めて下の図が問題である。



 ▲2九金打の防ぎようが無さそうだ。これなら先手の勝ちだったことになるか。が、すごい受けがあった。

 △2八香 ▲同飛 △2九角

 である。



 受けきったのか?まだ寄せがあるのか?手順を尽くしてみよう。観戦記者が「長手順で恐縮だが、ぜひ盤に並べていただきたい」と言うだけのことはある。

 ▲3八金打 △同角成 ▲同飛 △2七金 ▲2八角

 結論はまだわからない。下の図へ。





 手順を続けよう。

 △2八同金 ▲同飛 △2九角

 これで最後の図になる。



 もうおわかりだろう。二つ上の図と比べるべし。千日手である。
 もしかしたら今期の竜王戦はまだ終わってなかったかもしれないのだ。