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ゼロ和解したRSD訴訟
指先の血管腫を被告病院皮膚科手術で摘出したあと、反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)が発症したという事例。詳しくはこちらをご覧頂くと良いのですが、要は、何らかの怪我などで神経を障ったあとに、交感神経系が異常興奮しやすくなり、ちょっと触れるだけでも激痛が走るようになるといったもののようです。 手術では縫合糸を埋没させて終了したようなのですが、手術後数日で激痛が走るようになり、指先の感覚が鈍くなり、手術1週間後に被告病院麻酔科に紹介され、RSD(正確にはその時点ではジストロフィーは出ていないので、RSDに至る過程の状態)と診断され、痛みを除去するために星状神経節ブロックを何度か施行するも、原告の期待するような効果が無かったという。 原告はその麻酔科加療の間に別の大学病院に受診し、サーモグラフィーを撮影してもらったところ、体温の分布に異常はなく、RSDではないのではないかと言われ、その大学病院で埋没縫合糸を除去するべく手術を予定した。しかしその手術ではアスピリンを大量に服用する必要があると言われ、事前にアスピリン服用を指示され何錠か処方されたところ、喘息発作を発症したため手術をキャンセルした。 その後も数回被告病院麻酔科で星状神経節ブロック治療を受けたが、最終的に被告病院に見切りをつけた原告は、自己判断でさらに別の大学病院を受診した。そこの麻酔科でIVA(静脈内局所麻酔)治療を数回施行し、痛みが軽快してきたところ、麻酔科医師から整形外科での手術相談を勧められ、手術を施行した。手術では神経の癒着(?)を剥がすなどして無事終了。麻酔科医師には「痛みは3ヶ月続く」と言われ、術後も数回のブロック麻酔を受けたところ、最終的には当初の激痛は消失し、現在は指先に軽い感覚麻痺が残っているという。 「治ってるじゃないですか!」 なんとこの原告、治っているのに訴訟を起こしているわけです。で、被告に何を言いたいかを問われて曰く「ネットで調べたところ、RSDは6ヶ月以内に対処しないと完治しないと知った。RSDと診断しても検査も十分にしてくれなかった。誠意を持って治療に必要なことをすべてやって頂くべきだった」というようなことを言うのです。 「なんですか?!」 で、主尋問、反対尋問が一通り終わって、裁判官からの質問にて。
村田裁判長「あなたは被告病院麻酔科での治療期間中に、○○病院でサーモグラフィー撮影をしていますが、その結果を○○先生(被告病院麻酔科医師)には伝えなかったのですか?」 まあ治療に過失があるわけでもなく、そもそも後遺障害もないわけですが、職を失ったそうなのでそこら辺の遺失利益と慰謝料の請求ということでしょうが、それこそトンデモ提訴だと思います。平成19年の若い番号の事件ですが、ちょうどその前の年の秋に済生会川口総合病院でのRSD訴訟で6800万円の異常高額で和解した事件があったことに影響されたかも知れません。(こちらをご参照ください) 村田裁判長の下では原告敗訴は当然と考えられ、この傍聴をした時点では,どのような判決文を書いてくるかに関心が高まりました。 後日,内容確認のために記録閲覧を申請し,記録を繰ってみるとなんと「和解」の文字… 「おいおい,まさか」と思いつつ,和解調書を探すと,以下のようでした。
いやいや,まさかあるとは思いませんでしたの「ゼロ和解」ですよ。 まさかと思ったのは,別の医療訴訟の傍聴をで,こんなことがあったからでした。 6月11日に,平成19年(ワ)第17135号という事件の傍聴で法廷に入ったところ,円形テーブルの法廷でした。裁判官以下全員が普通のスーツ姿。訴訟内容は全く不明ながら,裁判長が「どうでしょうねぇ,和解ということも一つの考えとして…」との旨発言すると,被告代理人弁護士は「金銭なしの和解というのはないでしょうから云々…」と乗り気でない旨伝えたのでしたが,まあ時間さえ良かったらこの場で今からでも…ということで和解協議に突入しました。和解協議は非公開なので,数人の傍聴人は追い出されたので,内容はわかりません。 そんなことがあったので,今回のようなゼロ和解が存在することは初めて知りました。棄却判決に比べての,ゼロ和解のメリットは, 裁判所→判決を書かなくて済む。 こんなところでしょうか。「訴訟費用は各自の負担とする。」が,被告にとってどの程度の負担になるのかは知らないですが… ちなみに大元の請求額は560万円余りでした. ゼロ和解,これから増えるかどうか,注目です. 平成20年9月1日記す 医療訴訟トップに戻る | 表紙に戻る |
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