紹介棋譜 別ウィンドウにて。
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FIDEの世界選手権、ポーランドのコステニク、ロシア女子選手権
04/07/15
 アマゾン・チェック。今日の一位は、Nunnの"Understanding Chess Move by Move"が久しぶりに返り咲いた。一手々々を細かく切り刻んで長々と論じた本である。分析マニアのための本だが、それにしてはよく売れる。
 昨年の12月に注文したNick de Firmianの"The English Attack"がまだ届かない。問い合わせたところ、9月末に発売延期になったとのこと。
04/07/14
 タイブレーク初戦。白アダムズはルックとナイトの交換で駒得したのに、後をしくじり負けてしまった。普通じゃない。二戦目はドローで、カシムジャノフの優勝が決まった。先月19日から戦い続けて、丈夫な方が勝つという競技だったか。
04/07/13
 第六局。私の予想は数手のドローか、アダムズの勝ち。黒がマーシャル・ギャンビットを狙うのも予想の範囲内だったが、最後はポカの応酬で43手のドロー。ChessBaseのページによると、互いに投了寸前まで追い込み追い込まれた模様。動画を見る限り二人とも「らしい姿」で盤に集中できてたのに。かくて、早指しのタイブレークへ。
04/07/12
 第五局。この日のアダムズは前のめりに考え込んでいる。腕も肩もぎゅーっと胸に集めたような姿勢だから、ジャケットの背中がぱんぱんに張っていた。定跡はスパニッシュのチゴリン。私はICCでサトフスキーの解説を見ていたが、20手ちょっとでもう「アダムズが勝った」と、事も無げに言っている。それほどの大差とは思えないのだが、カシムジャノフが椅子の背もたれに寄りかかって放心したりするから、どうもほんとらしい。アダムズはCポーンを駒得できるのに見向きもせず、敵陣のキングス・サイドに圧力を掛け、落ち葉でも払うように掃除してしまった。これまでの勝ったり負けたりは何だったんだ?
04/07/11 紹介棋譜参照
 決勝戦第四局。対局場を動画で見られる。カシムジャノフの方が動きが激しく前傾姿勢が多い。17手あたりまでアダムズは背筋がピンとしていた。ピアニストでいえばグールド対ホロビッツという感じ。白カシムがルイ・ロペスのエクスチェンジ。黒アダムズは5.0-0の後、5...Bg4。調べると、スパスキーやトパロフなんかが数局指している。結果もそう悪くない。6.h3に6...h5と続く。
 小競り合いを止めて局面を動かしたのはカシムジャノフ。左図で意を決し26.d4。アダムズは取れずにNe6。この気合の差か、以後、黒は手詰まり気味で、私は、a筋の白馬一頭に黒城二本が抑えられているのが気になってきた。きっとアダムズもそうだったのだ、30手目にRxa5と自ら切ってきた。しかし、これが自殺行為だったようで、表情も気まずい。以下、白の仕事は楽だった。
 最後の最後で面白くなってきましたね。今夜がアダムズ、最後の白番です。
04/07/10 紹介棋譜参照
 トリポリは第三局ですかさずアダムズがタイに戻した。勝ち方に彼らしさを感じたので紹介棋譜にしておこう。ロシア女子選手権はコシンツェバが優勝。彼女に敗れたコステニクは、しかし、6勝1敗4分で半点差の単独二位、面目は保ったと思う。10Rの逆転勝ちが面白かったので、これも今日の紹介棋譜に。
04/07/08 紹介棋譜参照
 棋聖戦は佐藤が三連勝で防衛。これも素晴らしい将棋だった。
 トリポリは決勝戦の第二局。息の長いねじり合いが続く戦いで、アダムズに凡ミスが出た。カシムジャノフの先勝である。おやおや、という感じ。
 ロシア女子のコステニクは1敗が響きそうだったが、後半に追い上げている。図は白ガリアモバが失着27.Nf3-d4を指したところ。これを見逃さず、コステニクは27...Rxd4!。トリポリには申し訳ないが、こっちを紹介棋譜にしたい。なお、「軽い内容」とか言いながら、「例の彼」はトリポリの情報も伝えてくれて好調だ。彼の他、皇帝の掲示板でKeres65さんなども、トリポリの話をしてくれてるが、みんなスタンスが違っていて面白い。いつもこんな風に盛り上がれると良い。だが、この大会自体は今のところ世界凡ミス選手権だ。
04/07/07
 昨夜は堂島でお食事。帰りが遅く観戦はせず。さっき棋譜を並べたが、見れずに幸せだった。「週刊将棋」を買って、帰りの電車で棋聖戦第二局を読んでいた。
04/07/06
 トリポリのタイブレーク。二連勝で決勝進出を決めたのはカシムジャノフ。ここまでの印象では、がっしりした棋風である。
 ロシア女子選手権。例の「彼」がページを作ってくれた。今回は軽い内容とのこと。コステニクは相変わらず無理気味の戦いを続けているが、どうにかドローだった。
04/07/05
 先日お話したミロフにFIDEが反論している。要約すると、「ミロフの手続きが不正確で招待状が遅れたのだし、また、参加する気があれば、ミロフは充分間に合ったはずだ」。信じよう。しかし、お役所として責任逃れのできる最低限の仕事をFIDEはやった、というだけのことであり、これでユダヤ人棋士が安心してトリポリ行きの飛行機に乗れたとはとても思えない。
 ロシア女子選手権。左図で凡人は17.Nxc6だろう。しかし、コステニクが選んだのは17.f4。ひええ。当然の17...Nxa5に18.Rxa5。やめろおー。いかにも直観的な彼女らしい指し手だが、結果は言うまでもなく黒の楽勝。無論、私の愛は増すばかりだ。
 トリポリ、準決勝は今日が最終日。二組ともあまり面白くないドローで、アダムズが決勝進出を決め、もう一組はタイブレークに。
04/07/04
 畏友からメール。ロシアの女子選手権をやってる、とのこと。上位4名がオリンピアードに出られるらしい。さっそく観戦してみると、なんと幸運、白コワレフスカヤと黒コステニクという好カードに当った。コワレフスカヤの技が決まり、私にも見える筋さえ生じたが、そこで考え過ぎたようで、コステニクは助かった。相手を慎重にさせたのも、彼女の中盤が評価されてる証拠であるぞ。
 トリポリの準決勝第三局、トパロフはドロー。カシムジャノフが頑張ってる。一方、ラジャボフはポーンを張り出して黒アダムズを押し込み、左図で22.Nc3-b5。ICCのギャラリーも盛り上がったが、27手でドローにしてしまった。優勢なのに自信を無くしたらしい。勝手な想像を楽しむと、対局中のアダムズを見てると、勝てる気がしなくなるんじゃなかろうか。
 「囲碁将棋ジャーナル」で棋聖戦第二局を見た。佐藤、すばらしい。
04/07/03
 生活のリズムがまだもどらない。灯りをつけたまんま寝てしまうことが多い。昨夜は準決勝の第二局を10手ちょっとくらいまで観戦。つまらないので、横になったらやっぱりそのまま朝になってしまった。棋譜を並べると、こっちもやっぱり二組とも力無いドローだった。
04/07/02
 白ラジャボフは黒アダムズにカタランを使った。この定跡らしく白はCポーンを捨てて戦ったのだけど、その駒損で負けてしまった。これじゃあカタランの顔が立たない。野球でいう「スミイチ」に近い完封だった。
04/07/01
 ラジャボフは1勝1敗4分で最後の7戦目を黒番でドロー。これで準決勝進出を決めた。女子選手権の時と同様の規定である。グリシュクは敗退。彼を破ったのはカシムジャノフ。私には不本意な結果だが、決して大番狂わせというわけではない。本欄でも03/10/17のイワンチュク戦で紹介済みの強豪。調べたら、モロゼビッチ、ポルガー、バレーエフ、ドレーエフなんかに勝ったことがある。トパロフまで破ったら本当に驚くが。
04/06/30
 後が無いラジャボフは積極的に打って出て勝ち。グリシュクも勝った。まったく、冷や冷やさせてくれます。二人とも、タイブレークは大丈夫でしょう。トパロフは連勝。ここまで9勝0敗1分ながら、天敵のカスパもクラムもレコも居ないのだから、格下に勝ちまくったところで、悪いけど感動が無い。むしろ、彼との対戦なら、着実に勝ちあがってるアダムズの方を私は推す。とにかく、準決勝でようやく世界選手権らしい組み合わせを初めて見れそうだ。今夜は期待している。追記休みでした。
04/06/29
 ドレーエフがベスト8に残れなかった。おかげで準々決勝の取り組みに見たいものが無い。私のコンピュータにトラブルもあって、観戦しなかった。追記トパロフ、アダムズ、勝ち。ラジャ、グリ、負け。
 畏友は1936年のミュンヘン・チェス五輪にくわしい。いろいろ教えてもらった。アリョーヒンは参加してない、とのこと。彼とナチスの関係は興味あるところで、私には意外だった。さらに意外なことに、ケレスはスペイン代表だった。優勝はハンガリーでマロッツィが参加。ボイコットした国はイギリス、アメリカ、アルゼンチン、パレスチナ、アイルランド。しかし、21ヶ国が参加しており、これは翌年のFIDEのオリンピアードよりも2ヶ国多いほど。畏友は「大会としては大成功だったよう」。うーん、カダフィ・リビアの大会よりヒトラー・ナチスの大会の方がまともかあ。いや、悪い冗談。畏友の報告によれば「オランダのメディアはミュンヘン大会を無視したそうです」。
04/06/28
 ナチス主催のベルリン・オリンピック(1936)は多くの名勝負と聖火リレーと「民族の祭典」を生んでくれた。テレビ中継の試みまでしたらしい。畏友によると、ナチスはベルリンに合わせ、チェスの五輪もミュンヘンで開催したそうだ。チェス・オリンピアードの歴史からは消されてるが、まだ駆け出しのケレスなんかが出場している。
 トリポリの大会は何をもたらすのか?優勝者はカスパロフと戦うのだが、ユダヤ資本やアメリカ企業の支援を期待できないと、カスパロフの名をもってしてもスポンサー探しには苦労するかもしれない。杞憂かなあ。二大会連続で不遇な優勝者が生まれる予感がする。今日から準々決勝。暗さをあえて忘れず観戦態勢に入りたい。
04/06/27
 ChessTodayがミロフの話を紹介している。彼はスイスの棋士だが、パスポートはイスラエルなんだそうだ。このおかげでトリポリに参加できなかった。ミロフは参加に同意する契約を交わしていたのだが、彼に招待状が届いたのは今月の18日。一回戦の前日だ。ふざけてる。間に合うはずがない。「FIDEはあらゆる方法で、私を参加できないようにした」とミロフ。今大会のユダヤ人差別の話は他にもある。彼の言を信用しておくのは妥当だろう。1999年の世界選手権も馬鹿げていたが、あれを日本チェス協会は全面的に支持した。今度は何を言うか、私はとても注目している。
04/06/26
 山田道美が若い棋士を集めて研究会を開いたのは知られている。角換腰掛銀の後手右玉戦法なんかが検討され、米長邦雄もメンバーだった。彼の矢倉右玉は、それと関係あるんだろうか。それとも、駒落ち上手の戦い方の応用だろうか。
 リビアの首都トリポリで世界選手権。3回戦が終り、ベスト16まで決まった。私はまだ一局も並べてさえいない。優勝候補で残ってるのは、トパロフ、アダムズ、グリシュク。好きな棋士では、ドレーエフ、ラジャボフ。カールセンは1回戦で消えた。
04/06/25
 仕事が今日でいろいろ片付いた!来週からは暇が出来るかも。今月のムダ話は、この一年で買った絵本から選ぼう。結構好きなのだ。もっとも、変わった本ではなく、いまさら安野光雅なんか買っている。折にふれ引き出して、思いにふけるのが『蚤の市』だ。安野らしい薄茶色を基調として、蚤の市のいろんな品物が並び、いろんな人が集まる。百人くらいが画面一杯に溢れている。言葉は無い。市全体が落ち着いた幸福感に満たされているのが好きだ。他の人が描くと騒々しい構図になりやすいが。よく眼をこらすと、安野の遊び心に気が付いて、それも楽しい。
04/06/24
 先週は佐藤に森内が挑戦する棋聖戦の第一局、熱戦だった。久しぶりに週刊将棋を買って、東岸和田に向かう出張の阪和線で読んだ。矢倉で後手の佐藤が玉を中住まいにして勝ったのが印象的で、畏友によると米長がやっていたらしい。将棋年鑑のCD-ROMで検索したら4局見つかった。ただ、米長のは中住まいというよりは右玉の感覚である。昭和49年の王位戦第1局で後手中原に対して使ったのが最初(米長負け)。昭和59年の順位戦で後手中原に使ったのが最後(米長勝ち)。面白いのはこの年の王将戦第5局で後手森に使った例で、米長の玉は迷走して8八に戻っている(米長勝ち)。もう一局の例は王将リーグ板谷戦で、先手の板谷は穴熊にして勝った(昭和50年)。実は、米長自身が後手加藤戦でこの玉形にされたこともあり、その時の米長も穴熊にして、その堅さを頼んで加藤陣をつぶしている。
 ちなみに、米長よりも古い例では3局あった。昭和43年と44年の有名な棋聖戦で、山田が中原に使っている。もう一局は、前者の挑戦者決定戦、高島-中原で、「歩を捨てて香を打ち直すかどうか」のエピソードで知られるあれだ。これも先手高島の矢倉右玉だった。
04/06/23 紹介棋譜参照
 ポーランドの最終日はコステニクの猛追が実って優勝。第9Rを見逃した方は残念でした。紹介棋譜にしておきます。形を崩される脅しに屈しなかった16...gxf5が勝因でしょう。私の棋力では、自陣を整備する彼女の感覚が、ボロ屋をベニヤ板で修復して悦に入ってるだけのようにも見え、相手のクィーンに突っ込まれたあたりはドキドキ。局後の眼で鑑賞すると大差なんですが、実況感覚を大切にしたいです。盤面全体に気の付く軽い決め手もチャーミングで、ただの怪力女ではありません。
04/06/22
 月曜の仕事のため、土日も職場に出て準備していたのだが、台風6号のおかげで月曜がヒマになってしまった。残念というより助かった。疲れが取れた。昼寝を楽しみ、それから、先日のモーフィー本を持ってミスター・ドーナツへ。大橋堂の万年筆を買って以来、これを使うのが楽しくって、私は店内でよく本欄の下書きをする。自宅ではそのまま機械に書き込んでしまうから。さて、上記の本が意図してるのは、レティによって固定化したモーフィー像を考え直すことだ。しかし、ざっと読んで、私はレティを修整しようとは思わなかった。それでも、参考になる指摘は多く、さっそく自分のページの補筆に使う。また、引退後の棋譜や、シュタイニッツとアリョーヒンによるモーフィー論が収録されてるのも有難い。
04/06/21 紹介棋譜参照
 ポーランドの女子は強く、2002年のオリンピアードでは三位。そのベスト・メンバーが"歓迎"してくれるのだから、コステニクも楽ではない。開幕してしばらくは苦戦が目立ったが、それでも中盤の力は際立っていて、ファンとしては誇らしく感じる。ラウンドが進むにつれて勝ち星も増えた。いま、首位を走るスクリプチェンコとの決戦を観戦中。我がサーシャは白番で猛攻撃、黒王を追い回しているところだが、さて、攻めが続くのだろうか。
04/06/20
 ペトロジアンの記念大会は僅差で世界チームが勝った。一方、ペトロジアンの宿敵だったコルチノイは73歳でまだまだ健在。ハンガリーの大会に優勝したのだ。ジョージー・マルクス・メモリアルという小さな大会だが、ベリャフスキーやアクスが参加していたのだから、立派な優勝だ。ちなみに、03/07/14で紹介した対局が、昨年におけるこのイヴェントにあたるらしい。
04/06/19
 コステニクがポーランドの早指し大会に参加する。スクリプチェンコも来る。たぶん二人は招待されたんだろう。ポーランドの女子強豪四人と優勝を争う。地味だが良い大会になりそうだ。これを日本語で楽しませてくれるページが登場。ご明察、作者はこないだの女子世界選手権を盛り上げてくれた情報ページの彼である。早くもいろんなエピソードが用意されており、開催前から充実した内容だ。
04/06/18
 15日の夜、名門マーシャル・チェス・クラブで早指しの小さな大会が催された。そこに現れたのはカムスキー。1996年が実質的な活動の最後で、1999年以後は競技場に姿を見せてない彼である。本欄では近況を04/03/31に書いたが、今回のが本格的な復帰の前触れなのかどうか、そこまではわからない。とにかく、相手は無名選手ながら2勝0敗2分で優勝しており、棋風にも大きな変化は無い。インターネットでの対局は続けていた、とChessToday。
04/06/17
 私が買った本から御紹介しましょう。まだちょっと読んだだけですが、
  Macon Shibut, Paul Morphy and The Evolution of Chess Theory
 初版は1993年でCaissaから。私のはDover版で今年でたばかり。冒頭が左の図で白番。1863年のモーフィーが指したのは不可解な9.h3だった。彼らしくない手待ちに思える。面白いことに、まったく同一の局面を1961年にタリが迎えており、このときは積極的な9.Qf3だった。これはタリのみならず、モーフィーにも相応しい元気よさ。以下、9...0-0, 10.e5、だが、ここでタリは黒からの好反撃10...Ng4!を食らってしまったのだ。形勢は黒が良いらしい。おお、わかったでしょ。タリが見落としていたこの手を、どうやらモーフィーは見破り、警戒して9.h3を指したようなのです。
 棋譜だけを羅列したページも多い本ですが、いまの話だけで元は取れた気分になれました。
04/06/16
 「甘い生活」と「インテルビスタ」のディスクが二つあって、後者を先に見るという痛恨の手順前後を犯しました。理由は言わずにおきましょう。もちろん「インテルビスタ」は名作ですよ。家を訪ねるシーンで、大きなチェス・ボードがちらっと出てくることを御報告しておきます。
04/06/15
 ここずっとアマゾンでチェス洋書の一位を続けてるのは、ファインの例の序盤本。二位と六位に、タリの本が入ってるのはうれしい。最近のでは畏友は、
 Tibor Karolyi; Judit Polgar - The Princess of Chess; Batsford
 が、気に入ったとのこと。棋譜解説に堅苦しさが無く、伝記としても楽しめるようだ。夫とのなれそめは、彼女が犬を動物病院に連れて行ったことだとか。
04/06/14
 ChessTodayによると、モロゼビッチも不参加を決めたらしい、とのこと。
04/06/13
 アルメニアが生んだ世界王者ペトロシアン。生誕75年を記念した大会がモスクワで開催中。アルメニアやペトロシアンに縁のある棋士がチームを組んで、世界の強豪を迎え撃つという趣向。アルメニア陣には、同国の棋士のほか、カスパロフ、レコ、ゲルファンド。世界側にはアナンド、アダムズ、スヴィドレルほか。
 人気の無いペトロシアンの本はあまり見かけない。とっても面白いのに。おすすめは、彼の自戦記や論考を集めた"Petrosian's Legacy"だ。薄いが濃い。アマゾンで扱ってないのが残念。
04/06/12
 リビアで開かれる世界選手権はナチス主催の大会よりも悪名高くなりそうだ。不参加よりも、参加する有力棋士を数える方が楽である。すなわち、イワンチュク、モロゼビッチ、トパロフ、アダムズ、グリシュク、ショート。世界選手権とさえ銘打たなければ立派な大会だが、正直、「なぜ君らは参加してしまうのか」と問い詰めたくもなる。10日のChessTodayがトパロフに関して面白い記事を載せていた。彼を支援する企業との契約上、世界選手権には参加しなければならないのだそうだ。
04/06/11
 ChessTodayの後、四月にChessBaseもカールセンのインタヴューを載せた。チェスと学業の両立が困難であること等、詳しく聞き出している。さらに、今月のNewInChess04/4号もカールセンが表紙で、やはりインタヴュー。どこの大会へ行ってもメディアに追いかけられてる様子が伝わってくる。ポノマリョフ、グリシュク、ラジャボフ、カルヤキン、といったここ数年の神童たちの登場とは明らかに格の違う扱いだ。カールセンもそれは感じているらしい。彼の将来について大人たちは「性格が良すぎるのが心配だ」。
04/06/10
 女子世界選手権の貴重な情報を伝え続けてくださった日本語情報ページは、やはり期間限定とのこと。しかし、消えるのはあまりに惜しい。コンテンツの一部の編集をお願いして、
ここに貸していただくことが出来ました。名誉に思います。
04/06/09
 好調のシロフはレオンでも優勝。
 忙しくて、二月から四月までChessTodayを読まずに溜めていた。ようやく片付きつつあるが、棋界の動きをいくつか見逃してきたことに、いまさら気づく。二月にカールセンのインタヴューをしていたのも見つけた。「棋書を読む」という語が何度も出るのが印象的で、一番のお気に入りはクラムニクの"My Life And Games"らしい。他にはカスパロフの"Predecessors"や、ワトソンの"Secrets"を挙げていた。「爆勝ちの譜」も話題に上っている。ネットの対局で途中まで同じ局面を彼が経験していたのを我々は知っているが、それだけでなく、他の棋士による前例も知っていたという話もしている。ただ、その局面が当日に出現するとは全く思っていなかったし、何が最善手か、すでに知っていたわけでもなかったようだ。
04/06/08
 『ChessInformant89』をパラパラっと。納得いかない。あのカールセンの「爆勝ちの譜」(04/01/25参照)が収録されてないのだ。それから、『88』のベスト10にも、ラジャボフがアナンドを破ったドルトムントの局(03/08/02参照)が、候補にさえ選ばれてない。終りにミスがあることが後日わかったにせよ、変な扱いだ。ちなみに一位は同じくドルトムントからで、アナンドがボロガンを叩き割った一局(03/08/08参照)。新手賞も取った。
04/06/07
 Windowsにはいくつか付属のゲームがあって、コンピュータに初めて触ったころ、フリーセルにハマった。78連勝が最高だが、私はとことん読みきらないと手が進まない質だから、なかなかしんどい。そのうち、ハーツはもっと気楽にできることを知って、以来、こればかりやっている。記録を採ってみると、勝率は7割弱。いろんなコツがあるのだ。60点差を逆転したり、99点で勝ったりすると、ちゃちな相手とはいえ満足だ。最高は26連勝で、これはもう超える自信が無い。
 愛好者はフリーセルの方が多いだろう。でも、チェスの対局が好きな人はハーツ派が多い気もするのだが。
04/06/06
 第三局。ガラガラッと駒を交換したら形勢に差がついており、白コワレフスカヤがポーン得。そのまま終盤になって右の図に。不利ながら、黒ステファノバはビショップをc6に引き付けて粘っている。さて、ここで彼女は34...g5でポーンを交換した。意味は何かな、と思って見ていると、h筋を空きにして38...Rh8。白王の側面を突きたかったのだ。この構想が良く、参考になった。黒ルックはg2まで侵入して、白のgポーンを裏から狙う。白はそれが気になり駒を好きに動かせない。対して黒は、最後は48...Kxc4なんて手が実現して駒損を回復。コワレフスカヤはあきらめてドローを受け入れた。かくて私のステファノバが10代目の女王である。おめでとう。
 日本語情報ページの作者にも感謝である。女流棋界や魅力的な選手について、いろいろ知ることができた。大変なのはわかるので、「今後もぜひ」とは頼みにくいのであるが。
04/06/05
 二戦目もステファノバの勝ち。でも、昨日の名勝負は名人戦第五局だろう。そっちを録画して見ていた。
04/06/04
 初戦はコワレフスカヤの白番。無理やり駒をK翼に集中させて一気に敵玉を仕留めよう、という感じ。当然、Q翼が手薄になり、黒は労せず優位に立った。ステファノバはa筋から淡々と侵入して、勝ちを決めた。その瞬間、コワレフスカヤが捨て身の攻撃に出て、迫力があったが、ステファノバは落ち着いていた。
04/06/03
 女子世界選手権の決勝はステファノバとコワレフスカヤの四番勝負で争われる。私は後者をまったくマークしてなかったので、わからない。ずっと楽しませてくれた日本語情報ページが頼りである。それによると、ステファノバには分が良いらしい。しかし、私は楽観している。

戎棋夷説