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村田渉判事の判決文に学ぶ~2~

(事件番号:平成15年(ワ)第18664号、東京地裁平成19年8月31日判決。判決文はこちら)

「患者とその家族には不服な面もあったであろうが、医師としてやるべきことはやったものといえる」という趣旨の判断です。判決文の22ページです。

(3) まとめ

 以上のとおりであり,2月8日の被告病院皮膚科外来受診時及び救急外来受診時における担当医師らの亡Fに対する対応は,亡Fの病状及びその後の経過等に照らすと,亡F及びその家族である原告らにとって決して納得のいくものではなく,医師として患者である亡Fのために最善を尽くしていない,極めて不十分なものと受け止められたとしてもやむを得ない面があり,このような被告病院における診療行為等に対する不満と無念の思いが,本件訴訟の提起に至る一つの原因・動機になったとも認められる(甲A7,原告B)ところである。

 しかしながら,前記のとおり,2月8日の被告病院皮膚科外来受診時及び救急外来受診時のいずれにおいても,被告病院の担当医師らは,平成13年当時の医療水準に照らして必要とされる医療行為・医療措置はこれを行っており,医師としての法的意味での注意義務は尽くしたものと評価するのが相当であるから,担当医師らに患者を入院させた上での経過観察を怠った過失があったとまでは認めることができない。

 このようなまとめの文面もさることながら、この判決文の「当裁判所の判断」を精読すると、この「まとめ」に至る判断の緻密さには唸らされるものがあります。少なくとも以下のシンポジウムでの裁判官の発言「民事裁判はまず結論を仮定してするもので演繹的なものでない」などという独善的な手法とは異質の、真摯な司法判断だと感じます。
http://case-report-by-erp.blog.so-net.ne.jp/20071016

 尤も、裁判官の方々に配分される事件の山のもとでは、実際問題として「まず結論を仮定してするもので演繹的なものでない」となってしまうのは、これはもうどうしようもないことであることは良く分かります。我々がまさにそれくらい慌しい仕事をしている立場にいるわけですから。

 でも裁判を受ける立場からは、できれば最善の論理的判断を求めてしまいますよね。皆さんが医療に求めるものと同じですね。

平成20年5月4日記す


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